点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

書籍

若本規夫に"感染"する――『若本規夫のすべらない話』

若本規夫のすべらない話 作者:若本 規夫 主婦の友社 Amazon 僕は中学生から高校生にかけて、声を褒められたことがきっかけで、声優になってみたいと思ったことがある。色々調べて、絶対に無理だとわかったので、淡い青春の夢想に終わった。その時期に、一番…

時間管理・タスク管理は無理ゲーである―オリバー・バークマン『限りある時間の使い方』

限りある時間の使い方 作者:オリバー・バークマン かんき出版 Amazon 久々にビジネス書っぽいビジネス書を読んだんだけど、これはアタリだった。 こういう感じの本は、「身も蓋もない当たり前のこと」を正直に書いているもののほうが面白い。「人生が好転す…

実は邪神と戦っていた名探偵――『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影 (ハヤカワ文庫FT FTラ 5-1) 作者:ジェイムズ ラヴグローヴ 早川書房 Amazon 「シャーロック・ホームズ×クトゥルー神話」というまさかのマッシュアップ作品。 僕はホームズはほぼ読んだこと無い。 『緋色の研究』と…

※ネタバレ有り タラレバファンタジーに元気づけられた話――『ミッドナイト・ライブラリー』

現在、おおよそ人生の最底辺付近にいる。 付近とわざわざ付け加えているのは、最底辺は通過したと思えるからだ。うつを発症し、何もできずにただ希死念慮を頭の中で反芻する粗大ごみ以下の存在としてベッドの上に突っ伏していた2019年の2月より、今は遥かに…

『夫婦・カップルのためのアサーション』──自分のためか、相手のためか、両者のためか

「君はとても口が悪い。死ねとかすぐに言うのはとても不愉快だ。僕の前では言わないでほしい」 これは僕が以前お付き合いしていた女性に対し、付き合って3ヶ月目あたりで僕が口にした言葉だ。このとき、確か彼女は仕事先の愚痴(だったと思う)を言っていて、…

憧れの書評スタイルは、「日常から始める書評」

現実の事象や、自分が普段考えている問題意識、体験したことなどから、それについて書いている本に結びつけ紹介する、というやり方に憧れがある。 「日常から始める書評」だ。 「本書は~」から始まるのではなく、「そう言えば昨日、Twitterでこんな人を見つ…

まあまあ論理的になるための「誤謬チェック」

「論理的である」ということを、僕のような論理的思考に欠ける人間は、いまいちピンと来ない。 帰納法、演繹法、三段論法、ロジカルシンキング、トゥールミン・ロジック……論理的な考え方とはどういうことなのかをインターネットで調べると出現する数々の思考…

ググるでもDuckるでもなく、Amazonることの有効性──烏賀陽弘道『フェイクニュースの見分け方』を読んで

社会問題について知りたいとき、アマゾン検索で書籍を検索することにしたのは、大学に入ってからだった。それは今でも続いている。他人の言葉に影響されやすい僕は、自分なりにリテラシー向上と情報検索の方法を改めなければ、粗雑な情報を掴まされて、いつ…

心をハリネズミにする方法──香西秀信『レトリックと詭弁』

僕は口喧嘩が弱かった。いや、いまでも弱い。喧嘩の次に、議論に弱い。読書をしているのだからディベートに強いんだろうという、良くない先入観で立ち向かわれることが度々遭ったが、コテンパンにやられてしまう。というより、丸め込まれてしまう。 なぜ丸め…

北欧は本当に幸福か──マイケル・ブース『限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』

幸福な北欧の人々 僕のような煩悩の塊と化した現代の日本人が北欧の国々を見るとき、ひたすらに羨ましく思えてくる。だが、同時に「実際のところどうなんだ?何年も連続して幸福度が高いって、本当なのか?」という疑問を持つ。 その疑問に、ある程度面白い…

僕の適正文量は約1500字かもしれない

憧れの2000字超え ブログ記事は、僕が書く場合、1500字くらいがちょうど良い気がしてきた。 現在活動している書評家の個人ブログの特徴をかいつまんでみた。松岡正剛氏やDain氏、HONZレビューや冬木氏のような書評サイトの平均文字数は2000文字を超える。 彼…

読書が苦手な人がちょっと頑張ってハードルを超えるありきたりな方法

全く本を読めないけれど本が読めるようになりたいという人に向けて、自分なりに「こうしてみれば」という方法を考えてみる。気楽に読んでほしい。 1:図書館のカードを作る 1-1:「くそめんどいので、普通に書店で買うわ~」という人へ。 2:読みたい本を見つけ…

社会は残酷と悟った人の本──ふろむだ『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている 作者:ふろむだ 発売日: 2018/08/09 メディア: Kindle版 ハロー効果、利用可能性ヒューリスティック、後知恵バイアス、認知的不協和、一貫性の罠……などなど我々はどうやら、色眼鏡をかけて現実を…

断定する人は科学的に怪しい──吉森保『LIFE SCIENCE』を読んで

LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義 作者:吉森 保 発売日: 2020/12/17 メディア: Kindle版 一言で本書を説明するならば、細胞生物学とオートファジーの基礎的な知識を学べる書籍だ。しかし注目すべき点がある。第1章…

スマホは玄関においてから寝る──アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』を読んで

引くほど睡眠改善した 『スマホ脳』という書籍を読んで、自分のスクリーンタイムを見たところ、休日に18時間とか使っていることが判明した。ちょっとやばいと思ったので、「寝る部屋にスマホを置くべからず」という書籍からのアドバイスを実行した。電源を切…

ADHDや「自分の不器用さ」に悩むあなたに寄り添う『発達障害サバイバルガイド』

CAUTION この書籍に習って注意書きを書いておく。 あなたが発達障害の二次障害で、うつの底にいる場合、あなたがやることは「ただ休む」「横になる」ことである。ただ布団に寝そべりうつの底をやりすごすのは厳しいことだが、我々が抱える病の力はそれほどに…

痩せるのが難しい理由を知っても、痩せることは無い

衝動的な過食により、とうとう体重が100Kgを超えた。しかし過食をやめられそうになく、医者に相談するつもりだ。もともと太っていたので、さらに食欲に拍車がかかってしまった状態だ。間食と高カロリーな食事を我慢しようとしても、結局無意識に食べてしまう…

今、読んでほしい本『フェイクニュースを科学する』

フェイクニュースを科学する: 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ DOJIN選書 作者:笹原 和俊 発売日: 2019/02/27 メディア: Kindle版 冷静にフェイクニュース現象に眼差しを向ける 笹原和俊『フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プ…

衝動性と先延ばしのカンケイ──『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』(CCCメディアハウス)

ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか 作者:ピアーズ・スティール 発売日: 2016/07/08 メディア: Kindle版 この時期になると、翌年1年間どのようにしたいか?というテーマが、世間話からガチトーンな飲みの席にまで頻出する。 「来年は痩せる」「来年は仕事を…

笑いは分析可能だが、再現性は無い──『ウケる技術』(新潮文庫)

ウケる技術 (新潮文庫) 作者:水野 敬也,小林 昌平,山本 周嗣 発売日: 2007/03/28 メディア: 文庫 小学校のころ、「こないだのM1のさぁ、あのボケに対するツッコミの”○○だろー!”ってやつがさぁ、めっちゃ面白かったよな!!」という話をされると、猛烈におも…

生きていくために毒を持つ──『毒々生物の奇妙な進化』(文春文庫)

毒々生物の奇妙な進化 (文春文庫) 作者:クリスティー・ウィルコックス 発売日: 2020/03/10 メディア: Kindle版 図書館で目に入ったので読んでみたら、かなり面白かった。 この本を発見したときには、すでに他の書籍を借りるためにパラ見を何冊分もしていたの…

解釈違いを恐れずに──『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』

(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法 作者:三宅香帆 発売日: 2020/10/02 メディア: Kindle版 小説を楽しく読めるようになる本 白状する。書評を読んで、その本を「面白そう」と思うことが、あんまり無い。 大体は「こ…

Fan Pay様に寄稿致しました 2020-10-20

はじめてのおしごと 初めて文章でお仕事を頂いて、それが公開された。 しっかりとした「読書ブログ」を運営されている方々の中に滑り込んだ場違い感が拭えないけれど、少しでも誰かのお役に立てればと思う。 card-media.money.rakuten.co.jp 「これから読書…

眠れないから何だってんだ 2020-10-11

ろくに眠れていないが、それでもいいかと思うようになった。 今まで、眠れないと、「いやぁどうして僕は眠れないのだ」とか「明日の仕事は確実にミスをする」とか「命の前借りしながらTwitterを眺めるとは何事だ」とか「それにしても、不眠の朝3時に視る『水…

バカにできないアレン・カー『禁煙セラピー』

禁煙本はこれしか持っていない。これだけで禁煙できたから。 最初に書いておくと、この本は「禁煙したい」と思っている人間でなければ効果が薄い。「ホントは禁煙したいんだけどね」とか「やめられるもんなら、やめたいんだよな」など呟いている人以外の喫煙…

書評『これからのエリック・ホッファーのために』

これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得 作者:荒木 優太 発売日: 2016/02/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) ざっくり一言でこの書籍を説明すると、サブタイトルにある通り、在野研究者の個人史をまとめ、そこから在野で研究する…

僕らの失敗は全部農業のせいかもしれない──『とてつもない失敗の世界史』を読んで

とてつもない失敗の世界史 作者:トム・フィリップス 発売日: 2019/07/19 メディア: Kindle版 他人の不幸は蜜の味である。中野信子氏の著書『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』にもある通り、人間は残念ながら、他人の失敗に安心感や快楽を覚え…

『明日クビになっても大丈夫!』を読んでも全然大丈夫と思えなかった。けど本は面白かった。

明日クビになっても大丈夫! (幻冬舎単行本) 作者:ヨッピー 発売日: 2017/09/20 メディア: Kindle版 書けばバズる男ヨッピー氏によるビジネス本である。この本を読んで、明日クビになっても大丈夫!と思える人は、著者と同じ能力がある人間だ。 つまり、1.仕…

本屋になりたくなっちまう本

僕はたったの2冊で、ああ自分の本屋っていいな、と思うようになった。 現在、書店アルバイトとして去年の11月末から働いているが、未だにレジ打ちから抜けることができないでいる。希望としては新書・文庫のセクションあたりを任されたらいいなとか夢想して…

図書館と漫喫を使えないのはきつい

新型コロナウイルス流行によって、図書館が使えなくなった。 読書とは金のかからぬ良い趣味であると思っていたちょっと前の自分をひっぱたきたい。少し考えればわかることだが、図書館は感染症で一発アウトであり、さっそく書籍は購入しなければ(自分にとっ…