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点の記録

点だけ打って線を引けない男が、点と点を結ぼうとするブログです。

人生に影響を与えそうな本たち

2015.09.28 誤字修正


今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

 ネタが無いのではてなブログ今週のお題
 読書の秋感があるので乗っかろうと思う。

「おすすめの本を教えてよ!」は困る

 本を読むのが好きだというと、「おすすめの本とかある?」と言われることが多い。

 アメトークの読書芸人の回を見た時、又吉さんが「おすすめの本は何ですかと言われると困る」というようなことを言ってたと記憶している。

 完全に同意する。

 本を読むのは人の話を聞くのと似ていると思っている。
 本を書いているのは人だしね。きっと僕と似たように感じる人も多いのではなかろうか。
 そんな感覚があるせいか、「おすすめの本教えてよ!」というのは、「私に合いそうないい人紹介してよ」と言われているのと似ている気がする。

 僕は全然モテないので、女の子の友達も少ない方だし、恋愛音痴なので、女性から同じような質問をされてもマッチする人を男性データベースから引っ張ってくることはおそらくできない。だから、多分聞いてくる人いないと思うけど。聞かないでね。

 それと比べると本に関しては多少情報を持っているので答えようと思えば答えられるのかもしれないけれど、本のおすすめは、本読みからするとかなり勇気がいる。どういう本なのか説明するときに間違えていたらダメだし、おすすめした人の価値観に合うかなんて分からないからだ。

 それを踏まえて、「人生を変えた1冊」というお題で記事を書くわけだけど、この質問は「お前のタイプってどんなの?」と言われているのと同じ気がする。恋愛と絡めて考えるからいけないのかもしれないけど、じゃあそれを教えてあげたとして、「う~んイマイチだった」と言われるのは、なんとなく屈辱的だし恥ずかしいのだ。

 なので僕の人生を変えた1冊は教えない(だめじゃん)。
 だけどそれなりに、価値観に変化を与えてくれたような本を紹介させていただきます。

 お手柔らかに。
 時間を返せ等のクレームは一切受け付けませんがうっかり受け取ってしまった場合傷つくのでなるべく心のなかに留めておいて欲しい。

 

セネカ著 「生の短さについて 他2篇」岩波文庫

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

 

われわれにはわずかな時間しかないのではなく、多くの時間を浪費するのである。人間の生は、全体を立派に活用すれば、十分に長く、偉大なことを完遂できるよう潤沢に与えられている。しかし、生が浪費と不注意によっていたずらに流れ、いかなる善きことにも費やされないとき、畢竟(ひっきょう)、われわれは必然性に強いられ、過ぎゆくと悟らなかった生が過ぎ去ってしまったことに否応なく気づかされる。(冒頭より)

  ユリウス・クラウディウス朝時代の政治家、哲学者、詩人であったセネカ。実践を重んじる哲学は、現在の我々の生活においても参考になるところが多いと思う。
 それにしても、今よりもずっと平均寿命が短かった古代ローマ帝国の時代において、この発想ができることが凄い。古代ローマの平均寿命だけど、15歳まで生き残れたとして半数以上は男女とも30年前後、長生き出来ても50年くらい(死亡率が高い幼年期を入れると、平均寿命は驚きの20年ほど)。
 今よりも40~50年も平均寿命が短かった時代に、人生短くないぜ!って前向きだよなと、現代日本人からすると思うわけで。50歳が長生きっていう常識ってだけで、重要なのは長さじゃないということでもあるな~とも思ったり。

 それはそうと、今の僕達が効率よく生きることができれば、古代ローマ人よりも2~3倍は何かを成し遂げられる可能性があるということか。不遜な考え方かもしれないけれど、生きることにワクワクできる。

外山滋比古著 「思考の整理学」ちくま文庫

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

 

 思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。

「知識それ自体が力である」(ベーコン)
と言うけれど、ただ知識が有るだけでは、すくなくとも、現代においては力には成り得ない。知識自体ではなく、組織された知識でないと物を生み出すはたらきをもたない。 

  今年で御年92歳の知の巨人、外山滋比古氏の代表的ベストセラー。

 社会人になってから読んだ人は「大学生のときに読めばよかった」と言い、
 大学生になってから読んだ人は「高校生のときに読めばよかった」と言う。

 1986年に書かれたものと侮ることなかれ。現在でもしっかり通じる勉強術、閃き術は、本を読む上で非常に参考になっている。文体もユニークで表現力溢れたもので、読んでいて飽きないし、勉強本やビジネス本にあるようないやみったらしさを感じさせない。
 一読の価値ありだし、持っておいて損はない。

サマセット・モーム著 「月と六ペンス」

月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)

 

「奥様を捨てたのは、女性が原因ではないんですか?」
「冗談じゃない」
「名誉にかけて?」
 どうしてそんな質問をしてしまったのか、自分でもわからない。青臭いほどにもほどがある。
「名誉にかけて」
「じゃあ、どうして奥様を捨てたんです?」
「絵を描くためだ」

 妻と、二人の子どもと、今までの生活を捨て、40代にして絵描きを目指した架空の画家、チャールズ・ストリックランドの生涯が、彼を取り巻く人々のエピソードを交えて描かれる。
 物語は、ストリックランドの友人である「わたし」視点で描かれる。
 盛り上がりや見どころなど、ドラマチックな展開は少ないし、悲劇的なエピソードもあるため読んでいると気分が暗くなってくるだろう。
 ストリックランドは凡人だったのがいきなり豹変し、自分の生きる場所を求めるかのごとく、ストイックに、情熱的に画家としての人生を送ろうとする。そのストイックぶりが、やり過ぎだ。画家として生きること以外は無駄なことという価値観に染まってしまっている。周りからいくら人でなしと批判され、どれだけ貧しく、苦しい生活を送りながらも、自分が心からやりたいことを突き通し、美への執着を見せるストリックランドの姿は、文化芸術を目指す人にはもちろん、何か目標を持ち、達成しようとする人にとって、かなり刺激的だと思う。
 世を捨てろとまでは言えないけれど、いいとこ取りで彼から学べることは多い。
 余談だが、ストリックランドのモデルは、ゴーギャンであるとする見方が多い。

ロバート・チャルディーニ著 「影響力の武器」

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

 (前略)その道のプロたちが相手にイエスと言わせるために使う戦術は数限りなくあっても、その大部分は六つの基本的なカテゴリーに分類できるということです。(中略)本書ではこの六つの原理―返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性ーを取り上げていきます。

(前略)これまでに得られた証拠は、加速度的な勢いで情報の氾濫が進行している現代社会においては、思考を伴わないこの種の承諾が将来頻繁に生じるようになることを示しています。

 ゼミの教科書。調べたらビジネス書として有名だったのが驚き。
 確かに営業テクニックにバンバン使える内容だと思う。

 動物行動学者は、様々な種の動物の行動に、しばしば固定的で自動的なパターンが現れることに気がついた。これは人間の自動的反応と似ている点で、社会心理学、社会行動学的視点からも注目される。そしてそれらの行動パターンは、状況内の関連情報のなかの、たった一つの特徴(信号刺激)から引き起こされる傾向がある。
 人間は信号刺激に対して決まったパターンを取ることによって、手っ取り早く結論にたどり着けたり、望ましい結果を得ることができる。これは時間やエネルギー、精神的な披露を節約できるが、愚かしい間違いを犯しやすいという大きな欠点がある。これを「武器」として、何かしかの承諾などに用いられれば、我々はこれに気が付かず、すんなりとイエスと答えてしまうかもしれない。

 本書を読めば、いかに我々が気づかぬ所で思い通りにコントロールされているのかが理解できるようになると思う。この本で述べられている影響力の武器には、社会のルールそのものであるものもあり、簡単に身を守るようになるにはならない可能性もあるが、知っているのといないのとでは大違いだ。詐欺師は絶対知っている。騙されないためにも、ビジネスパーソンだろうがなんだろうが、読んでおいて損はない。

長えよ

 こんなものでしょうか。
 もうちょっとあるけど、あんまり長いと最後まで見てくれないと思うので今回はここらへんで失礼する。

 たくさん読書する人から、「おすすめの本」を聞き出しても、必ずしもしっくりくるとは限らないので、あまりその視点で本を探さないほうが良い。
 好奇心の赴くまま本を手にとって、自分の価値基準にどんどん刺激を与えるのが読書の楽しみ、醍醐味のひとつであると思う。無理に読むのではなく、読みたい時に読みたい本を!それだけで十分おもしろい毎日遅れると思う。
 読書好き増えろ!!