カフェだらけの日常 高井直之著『カフェと日本人』
日本人にとってのカフェ
経済ジャーナリスト、経営コンサルタントの高井直之氏が日本人とカフェ、及び喫茶店との結びつきを書き表した一冊。カフェ好きは楽しめる内容だと思う。
コーヒー、カフェの歴史や日本のカフェの発展模様などがざっくりわかるし、今現在のカフェ市場がどのようになっているかも入門編として読める内容でした。
普段何気なくスターバックスやドトール、近所の昔ながらの喫茶店を利用している人も、カフェ、喫茶店が時代の中でどのように努力してきたか、どのようにサービスの質を変化させてきたかなども知っておけば、カフェを見る視点が広がって、ますますコーヒーが美味しくなるに違いない(謎)友人にもそれとなく雑学知識として披露したりすれば「通だねえ」と一目置かれるかもしれない。ぐふふ。
もちろんそんな小さな邪マインドが動機でなくても、我々の生活にコーヒーやカフェ、喫茶店の文化がどれほど浸透しているかざっくり分かる本だと思うので、そういうことに興味ある人はぜひ読んでみてほしいです。
今後ヒットするカフェ予想
巻末の著者によるヒットするカフェ・喫茶店の予想が面白かった。
この予想は「日本人とカフェ」という視点、つまり巻末に至るまでに展開してきた議論を元に著者が予想しているものである。カフェでなくても自分で自分の飲食店を経営したい方にも参考になるんではなかろうか。キーワードで紹介されているので、それらのキーワードを抜粋させていただく。
ダッシュのあとの文章は私なりの要約です。
- 「開放感」や「特別感」―入りやすさと少しばかりの非日常性
- 作業や生産・流通過程の「見える化」―客への安心感を重視
- あんばい・サジ加減―お客が好む味を付け足しできる自由度
- ヘルスケアからビューティケアへ―女性客増加を受けて、美容によい商品を
- 「生活文化」としての役割―カフェ、喫茶の生活への浸透
なるほどという感じ。4番は難しそう。著者は缶コーヒーメーカーなどがトクホ認定のコーヒー飲料を売りだしたことなどを参考にこのような予想をしたらしい。
飲むこと自体が美容にプラスになるコーヒーの開発か。本腰入れて開発しようとしているカフェは確かに無いかもしれないから、もしできたらウケるのかしら。個人的にはコーヒー飲まないことが一番健康なんじゃないかとか思ってしまうけど、そういう無粋なこと言ったなら、過激なコーヒー好きから「お前を焙煎加工してやろうか」とか言われるかもしれないのでやめておこう。
僕とカフェ
どうでもいいことを告白致しますならば、ヤマザキはカフェ恐怖症でございました。カフェといえばオシャレな男性女性が屯している場所で、自分のような不潔感極まりないムサい男は店員から冷ややかな目で見られ、挙句は店から連れだされるのではないかと有りもしない妄想をしておりました。
克服するのには友人の力を借りました。おしゃれな奴と一緒に紛れ込んで、スタバのなんとかフラペチーノを飲んだことを今でも覚えておりやす。注文するとき緊張で喉チンコが飛びそうでした。
今では読書というカフェと相性の良い趣味を持つようになりましたので、金銭的な余裕があればフラッと入れるようにまでなりやした。近所にあるコメダ珈琲によく行きます。シロノワール美味し。
ちなみにカフェ恐怖症のときと同じような理由で原宿に近寄れません。今も近寄れません。
カフェだらけの日常
本の内容に話を戻す。
興味深いなと思ったのは5の「生活文化」としての役割。
これはもう十分生活文化に浸透しているように思うから、さらに生活に根ざしつつ、非日常とやり過ぎない特別感を出していくことができる店が売れるってことかな?
我々と喫茶店の距離が縮まったのは何がきっかけかといえば、約30年前のドトールによるコーヒーの価格破壊らしい。それまで年々上がっていたコーヒーの価格はラーメン一杯とイコールだったとか(平均して300円前後)。それを一杯150円で提供しだしたことは、我々の生活にカフェ、喫茶店を近づけた一つの業績だと著者は語る。
そういうところから、飲食店という本来の役割だけではなく、様々なニーズが生まれ、多様な付加価値がくっついて、日本のカフェは発展してきた。今じゃ何かのミーティングだったり、打ち合わせだったりもカフェでやったりするのでしょ?やらない?(学生なんで社会人のミーティング事情知らんっす)
ノマドワーカーなんて新しく出てきた働き方をしている人たちにとってはメインの仕事場だろうし、仕事じゃなくても一人で勉強なり作業するときにだって利用されるサービスだったりもする。カフェや喫茶店って運営、経営するのは大変そうだな。
少しでもいい客でいようと思えた。
カフェと言う言葉が街に溢れていることは、もう十分カフェと我々の生活が切っても切れないものになった証拠じゃなかろうか。文化というのは流動的なので、あくまでも今の我々日本人にとっては、だけど。
コンビニのカフェ化だったり、商品名に何かとカフェがつく。人が集まるイベントや公民館の講座、サロンの名前などにも使われる。喫茶は使われないな。「昔ながら」というイメージが付随するからかな。
著者の高井氏は本文をこう締めくくる。
二十一世紀の 日本で暮らす生活者(日本人に限らない)にとって、もはやカフェは「人と場所の代名詞」なのだ。
(本文より)
人と場所の代名詞か。このように表現される、使える言葉は、後にも先にもカフェだけかなと、貧弱な想像力にて申し上げます。
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