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点の記録

点だけ打って線を引けない男が、点と点を結ぼうとするブログです。

『脱社畜の働き方』―労働の当たり前を取り戻す

読書

 

脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法

脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法

 

厚生労働省の「平成26年度過労死等の労災補償状況」によれば、過労が原因の脳・心臓疾患によって亡くなってしまい、労災で保障を受けた人数は121件だったとあります。過労死として認定され、労災が機能した例が121件ですから、もちろん過労死として認定されてはいないけれど、過労が原因で亡くなったのではないかと推定されるケースはもっと多いのでしょう。

死亡はしていないけれども、脳や心臓を患ったケースは報告されているだけでも277件でした。精神に異常をきたしたケースはもっと多く497件。未遂を含む自殺は99件です。過労を巡る様々な問題は数年前から看過できない事態になっていますが、一向に改善が見られません。

僕はまだ就職先が決まっておらず、現在選考を受けているところで内定を頂けたらそこで働こうと思っています。そうなれば晴れて4月から会社員として社会の荒波に漕ぎだすことになりますが、こういったデータを知ってしまうと、正直怖くてたまりません。

ところで、先日図書館で面白い本を借りました。
『脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法』です。
話題になったのは3年ほど前ではありますが、読んだことがないので借りました。

著者の日野瑛太郎さんは東京大学を出た後起業し、その後就職されています(現在は退職されています)。
本書は、その過程で著者が感じた日本の労働に関する問題点、矛盾点をまとめ、元来の労働に関する固定観念に縛られず、臆すること無く労働法に則った当然の権利を行使したり、なんなら自分のビジネスを始めたりしちゃおうということが、体験談を交えて語られています。

構成としては、1章~2章で日本の労働に対する固定観念に対してダメ出し。それにとらわれている考え方を「社畜の思考法」とし、それはおかしいということで著者が「脱社畜の思考法」を提示するということの繰り返し。3章からは著者がその考え方に至るまでの自伝的内容。4章は自分のビジネスを始める方法として「プライベートプロジェクト」という手法を紹介し、5章で総括といった具合。サブタイトルの『34の思考法』は1~2章にまたがって紹介されています。

この本、Amazonレビューなどを見ると賛否両論で、そのレビューを見るのがとても面白いです。この手の「働き方本」ではお馴染みの批判ですが、批判的な意見を見ると、「抽象的なことばかりで実情を見ていない」だとか、「ゆとりの戯言だ!」とかそういった内容が散見されます。

確かに「どこどこの会社でこういった取り組みが~」などのケース紹介などは殆ど無く、著者の考えや著者周辺の人物などを根拠というか行動指針にしました、という風に受け止められてしまうような内容であることは否めないです。ただそういう具体的なところにしか目が行かない人というのは、「この本から何か得てやろう!」という欲求に支配されている人だと思います。それを自分の現状に当てはめて考えてしまい、「そんなの無理じゃん」となってしまうのです。

冒頭で過労死や過労による疾病、精神障害などの実情を書きましたけど、具体的なケースが云々とか、俺らにはできないとか言ってられる状態ではありません。経営者からしたらこのような労働環境に対してとやかく言う本の意見は「お前に何が分かるのだ」と言いたくなるかと思いますが、「そもそもあなた方は法律を守っていない時点でとやかく言う資格が無いのではないでしょうか」と言ってやりたくなります。長時間労働のうえに、残業代も払われず、有給休暇を申請しても取ることができない。皆さんご存知の通り労働基準法違反です。労働基準法違反がまかり通るシステム自体おかしな話ですが、そもそも、そういう環境にいながらツッコミを入れようとしない我々労働者のマインドにも問題があります。

以下背表紙より引用。

社畜の思考法

  • 理由もないのに有給をとるなんてありえない。
  • 若いうちの苦労は買ってでもする。
  • 仕事とは、理不尽なことに耐えること。
  • 会社には定年まで必死にしがみつく。
  • 「残業」が原則、「定時」が例外。
  •  長時間働いている人は頑張っていて偉い

脱社畜の思考法

  • 理由がなくても、休みたいときは有給をとって休む。
  • しなくていい苦労はしない。
  • 仕事とは、価値を生み出すこと。
  • 転職する覚悟だけはいつでもしておく。
  • 「定時」が原則、「残業」が例外。
  • 長時間労働で人の頑張りは測れない。

この一覧を見て、「脱社畜の思考法」を「うわぁ……」と思った方々は、是非とも過労による精神疾病や過労死だけはしないで頂きたいです。家族のために働かないといけない!とはいっても、あなたが過労で病んでしまったり死んでしまったりしたら、一番困るのは家族です。

一見バカバカしく思えるのは、既存の価値観におもいっきり染まってしまっているからです。「ゆとりの戯れ言」と一蹴せず、「労基法守れよ!」という一見してチープな、しかし根本的な問題提起の声には経営者、中間管理職に限らず、労働者自身も耳を傾けなければならないと思います。

よく見ると「脱社畜の思考法」の部分は当たり前のことしか書いていません。「当たり前のことしか書いていない!わざわざ本にする必要があるのか!」という批判をされる方もいらっしゃるようですが、当たり前のことをいつの間にか忘れてしまっている我々は、こういう本に触れる機会を少しでも作っておくことも必要なのではないかと思います。

 

著者である日野瑛太郎さんのブログ

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