点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

ライト書評20160905──『日本人のための宗教言論』『世界5大宗教全史』『手にとるように宗教がわかる本』

※Achelouは宗教知識ビギナーなので、間違えているところなどがあれば教えて頂きたいです。

 宗教フェア

最近は宗教の流れを手っ取り早く理解しようと思いまして、図書館でドバーっと10冊ほど借りてきました。それぞれどんな本であったかをざっくりと纏めておきます。しっかり読み込んでいるものは少ないですが、これからこれらの本から得た情報を纏めて、少しずつ知識を入れていこうと思います。

『日本人のための宗教言論』──宗教はつまらないというあなたへおすすめ

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか

 

 ご存知、社会科学者の故・小室直樹さんによる『宗教言論』。宗教の入門書を読むときに注意なのは、その著者の解釈の仕方。まずは宗教一般をどう見ているか?というところですが、小室さん、宗教とはなんたるか?をこう記しています。

 マックス・ヴェーバーはかくいった。宗教とは何か、それは「エトス(Ethos)」のことであると。エトスというのは簡単に訳すと「行動様式」。つまり、行動のパターンである。人間の行動を意識的及び無意識的に突き動かしているもの、それを行動様式と呼び、ドイツ語でエトスと言う。英語では、エシック(ethic)となる。

(中略)

 なぜヴェーバーの定義がいいのかというと、宗教だけでなくイデオロギーもまた宗教の一種であると解釈できるところにある。どういうことかというと、マルキシズムも宗教である。資本主義も宗教である。そして、武士道などというのも一種の宗教だといえる。

 マックス・ヴェーバーの宗教の定義を流用していますね。ただこれは小室さんの「イデオロギーも宗教である」という価値観からくる定義の使い方なので、ちがわい!という人が出てきそうかも、という印象。キリスト教批判が過ぎる……ような気がするのも引っかかる。それでも読む価値あり。小室さんは文章がめたくそに面白い。歯切れのよい、分かりやすい、刺激的の3拍子。宗教について学ぶのがつまらなくって仕方がないという人にはもって来いの書。

 『図解 世界5大宗教全史』──文章だけじゃ不安な人も分かりやすい図解が

図解 世界5大宗教全史

図解 世界5大宗教全史

 

 『宗教学大図鑑』の著者のひとり、中村圭志による著作。新しめの本。紹介してくれる宗教は、仏教、ヒンドゥー教ユダヤ教キリスト教イスラム教、その他にもちょろっと書かれている。仏教とキリスト教に多くのページが割かれているので、この2つについて、ざっくり知りたい、おさらいしておきたいという時に使える本かもしれない。本当に分かりやすい説明なので、宗教に詳しくない人たちに説明するときの受け売りとして使える気もする。

(初期仏教、テーラワーダ仏教の説明) 

「煩悩まみれの生活からスタートして、修行により煩悩を脱していって、遠い未来にゴールインするのを目指す」という、すごろく式の明確なものである

『手にとるように宗教がわかる本』──島田裕巳じゃ信用出来ないなんて思わないで

手にとるように宗教がわかる本

手にとるように宗教がわかる本

 

上記の宗教入門本よりも、かなり平易な文章で、分かりやすく書かれている本だと思います。監修はオウム事件の際、オウム真理教を擁護するような発言や言論をしたとして、誹謗中傷の的になった宗教学者島田裕巳さん。創価学会ヤマギシ会にも肯定的な態度を取っていることから、「え、信用出来ないんじゃないの?」と思われるかもしれないけれど、じゃあ特定の宗教がいいぜ~とも言っていない。下手に図解で説明されるよりも、ある程度文章によってしっかり説明して欲しい!という人は、上の『図解 世界5大宗教全史』よりも肌に合うのではないでしょうか。中学生でもわかりそう。

「Part6 日常にある宗教」という章は読んでいて楽しいです。宗教について学び始めた人からすると、そうだったのか~と感心するようなことも書かれているんじゃないかな。天国と地獄という概念がどのようにできたか?現代に起きている宗教の問題とは?宗教とオカルトの境界線って?というようなことが気になる人であれば読んでみて損は無いかと思います。

9月は宗教フェアということで、この1ヶ月で宗教に関する基礎知識を固められたらと思っていますので、ブックログも宗教に関するものが増えると思います。飽きたら他の分野の本も読んでいますので、そちらも紹介できたらいいな。

以上、『ライト書評20160905』でした。