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点の記録

点だけ打って線を引けない男が、点と点を結ぼうとするブログです。

ライフハックについて

市民権を得た「ライフハック」

ライフハックという言葉は「はてなキーワード」によると、次のようになる。

効率良く仕事をこなし、高い生産性を上げ、人生のクオリティを高めるための工夫。

もともとは「主にハッカーやギークなどが、コンピュータやシステムを活用して仕事を効率よく行うためのテクニックやノウハウ」という、「仕事術」的側面の強い単語だった。アメリカのテクニカルライター、ダニー・オブライエンが2004年に行った講演が始まりである(O’Reilly Emerging Technology Conference 2004)。

2005年ごろから日本でも流行し始めた。「ライフハック」という言葉は当初の意味から広がりを見せ、現在では「人生(ライフ)をハックする」という、仕事に留まらない広い領域を扱う単語として捉えられることもある。

ライフハックとは

ライフハック流行から10年あまり、らしい。インターネットサイトにはライフハックを標榜して、悩み多き現代人である我々の悩みを解決してくれそうな情報が、所狭しとぎゅうぎゅう詰めになっている。ニュースサイトには「ライフハック欄」があり、「LIFEHACKER」というライフハック系記事専門のネットメディアも存在する。政府がちらつかせている長時間労働規制のことを考えると、短い時間で高い生産性を出し、残業代以外でもお金を稼がねば!という意識が生まれるのはいいことだとは思う。仕事術的な範囲を出さなければ。ただ、引用箇所後半にもあるように、人生全般において「効率よく生きよう」という意識が広まりを見せてしまうのは、ちょっとした息苦しさを感じる。

 

ライフハック! カタログ (日経BPムック)

ライフハック! カタログ (日経BPムック)

 

 

効率の良い生き方の探求

仕事において「生産性をあげる」と言うのは、形だけでも資本主義経済の中で暮らしている経営者ならびに従業員が共通して持っている意識だ。日本人は労働時間に対して生産性が乏しいと言われてから久しい。そういう情報も、いち早く生産性を上げなければ!という意識をさらに強固なものにする材料に使われたりする。しかし仕事以外でも効率よく生きようという、効率化の飛び火が起きている。家族や彼女など、親しい人とうまく付き合う方法だとか、趣味を長続きさせる方法、仕事ではなく、効率よく人生の目標を達成させる方法、効率の良いマインドフルネス、瞑想法、効率の良い喋り方などなど、いたるところに「ライフハック」によるハッキングが起きている。

「効率的な生き方」をした方が、そりゃいいかもしれない。一個の作業にかける時間が少なくなれば、他の多くのことに時間を割ける。ここで個人的に疑問なのは、人生全般の効率化を説く人たちは、空いた時間にする瞑想や趣味、人付き合いにも、すべてライフハックのテクニックを使って、効率化、最適化をしたりするのだろうか、もしくは、したいのだろうか、ということで、もうそうだとしたらなんだか大変だよなと思う。

 

スマホで捗るライフハック

スマホで捗るライフハック

 

 

人間は非合理的な判断をする生き物だ

人間というのは基本的に非合理な生き物だ、という話題を目にすることがあるけれど、これは覚えておかなくてはならないことじゃないか。意志の働きが理性や感情よりも優先されることはよくあることでしょう?僕は「主意主義」的な考え方の方が好きだ。経済学の人間像は合理的すぎるという批判をされることがあり、認知科学のパラダイムを経た「行動経済学」が注目を浴びている。知識や理性の働きを感情よりも重視する立場を「主知主義」といったりするけれど、経済学同様、ライフハックの記事には主知主義的な人間像で書かれているものがあったりする。手帳術やノート術ならまだしも、目標達成術などはその方法論を使えばうまくいく!と言って聞かない。

ライフハックで紹介されているのは、記事を書いたりしている人の「俺こうやったらうまくいったよ。根拠はこれ。みんなもどう?」というものばかりじゃないかな。効率的な生き方を提示する方の意見というのは、こちらの生活の細々とした状態を理解していない。そして、細々としたものによって意志の働きが左右されることがあるのが人間じゃないのか。非合理な判断をしてしまうことについては、諦めた方がいい。脳みそはどうやら、我々が思っている以上にテキトーらしいことは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カールマンの「ファスト&スロー」とかを読むとわかる。僕らは夢や幻覚など、現実世界の出来事ではないものを「見る」ことがあるような生物として生きている。意識高く持つ若きビジネスマンが、「全てを効率化するのだ!」という意見を持ってやってきたのなら、「そういう生き方いいね。でも疲れない?」くらいのねぎらいの言葉をかけてあげたい。

非合理なものが面白かったりするでしょう?非効率を受け入れたほうが、人間らしい側面を捉えることができて、それもまた良しなんじゃないかな。

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 

ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 過去記事です。

achelou.hatenablog.com

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