ゲームキューブについて
PS2の影に隠れた名ハード
2001年11月18日、15年前の今日。日本に先駆けて北米で発売されたゲームキューブは、PS2の猛威を払拭することができず、Nintendo 64から続く任天堂の不調を継承するように、売上的にはうまく行かなかったゲーム機として記録に残ってしまいました。他の任天堂ハードと比べてどれほど売れなかったのかを知る良いデータがあります。『星のカービィ』を生み出した桜井政博氏がディレクターとして世に出した、人気ゲームシリーズ『大乱闘スマッシュブラザーズ(以下:スマブラ)』という作品はご存知でしょう。このスマブラはNintendo 64、ゲームキューブ、Wii、3DS、Wii Uでそれぞれ発売されています。Wikipediaのデータにはなりますが、このスマブラの売上をまとめた表がありますので引用させて頂きました。
Wii U版が著しく売上が下がってしまっていますが、これは3DS版と殆ど同内容であるといういささか特殊な理由があるためでしょう。むしろ3DS版に追加要素を足した内容でありながら約73万本よく売ったな~。ということで3DS版+Wii U版で換算すると、スマブラfor~は約326万本です。このように考えると、ゲームキューブで発売されたスマブラDXが、スマブラシリーズで一番売れなかった作品となるのです。
これだけではゲームキューブが売れなかった根拠として薄いですが、なんとこのスマブラDXがゲームキューブで一番セールスを上げたソフトなのです。
このソフトの初週推定販売本数が約35万本に対して、発売以前のゲームキューブの推定販売台数は約30万台であった。最終的な売上本数は推定約151万本であり、ゲームキューブ専用ソフトとしては最大かつ唯一のミリオンヒットとなった。
引用元:大乱闘スマッシュブラザーズDX - Wikipedia
ゲームキューブ=スマブラDX
スマブラ発売前のゲームキューブ推定販売台数が、スマブラの初週推定販売本数を上回るというのはどういうことか?それまでゲームキューブを買っていた人よりも、スマブラをやるがためにゲームキューブを買う人のほうが多かったということです。多くの人のイメージが「ゲームキューブ=スマブラDX」という印象を持っていると思います。僕もゲームキューブのソフトで一番やったものは何?と聞かれれば、やっぱりスマブラDXです。自分でも持ってましたし、友達の家にもありました。Wi-Fiの普及以前の対戦格闘ゲームですから、自分の家で練習して友達と腕を競い合うという昔ながらのゲームを通じたコミュニケーションで仲良くなった友達もいました。
記録の上では負けハードかもしれませんが、僕の小学校~中学校時代を支えてくれたソフトです。紛れもない名作だと信じておりますが、面白すぎて他のゲームソフトに目移りすることがそれほど無かったのではないでしょうか。eスポーツ(デジタルゲームをスポーツとして認識しなおし、スコアや対戦で腕前を競う取り組み)の世界では、競技種目の一つとして採用され、一部の界隈では未だにホットなソフトであることも考えると、他のゲームキューブソフトが売れなかったのも無理は無いでしょう。
売れたソフトが名作ではない
確かにスマブラはゲームキューブでとても売れたソフトです。記憶にも残ってます。今現在でもプレイヤー人口は少なからずいて、インターネットメディアに取り上げられることもありますから、もう紛うことなき名作でしょう。スマブラシリーズで一番売れなかった作品でありつつ、次世代ハードでのスマブラの方向性を形作った功績もあります。マーケティングや経営などの視点から見ればゲームは売れなければなりませんが、売れたソフト=名作ではありません。ベストセラー=名著でないのと同じです。ゲームキューブには多くの名作があります。『ルイージマンション(約60万4000本)』『スーパーマリオサンシャイン(約87万本)』『ピクミン(約56万本)』『ゼルダの伝説 風のタクト(約74万本)』『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス(GC版はネット専売のため不調だったが、全ゼルダシリーズでトップセールス)』『ギフトピア(データ見つからず……)』『どうぶつの森+(約99万本)』『ファンタシースターオンライン エピソード1&2 Plus (データ見つからず……)』『バテン・カイトス(約12.5万本)』『カービィのエアライド(約45万本)』などなど……個人的な名作を挙げたらきりがありません。
みんながやっているから、何やら売れているみたいだから……そうした動機でゲームを買うのもありです。否定するつもりはありません。ただあなたにとっての名作は、本流から逸れた影にひそんでいるかもしれません。インターネット、SNS、ゲーム情報サイト、情報雑誌、動画サイトを見て、読んで、聞いて、ビビッときたら買ってみる。『バテン・カイトス』なんかはその類でしたが出会ってよかったと心底思います。一目惚れするゲームがあったら、それはあなたにとっての名作の予感。ぜひとも数字に踊らされず、自分の価値観に合致したゲームと出会えますことを祈っております。そしてゲームキューブは、それを教えてくれる良いハードだったなと、これまた心底思うわけであります。