点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

冷気の壁

今週のお題「晴れたらやりたいこと」

 

僕はとにかく暑がりで汗っかきだ。どれくらい汗かきかと言えば、酢が入っているものなどを食べると脇汗や顔汗がひどくなるときがある。これは味覚性発汗と呼ばれる生理現象で、特に異常なことではない。しかし、ちょっとした運動、気温の上昇、精神的な不安によって、ドバドバ汗をかく。見た人が引くどころか、心配になるレベルで汗をかく。

そんな僕は、もちろんのこと夏という時期が大嫌いだ。毎年夏になると憂鬱を通り越して希死念慮さえ出てくる。うそ。むしろ夏の方がどっか行けと言い出してしまいそうになる。一年中湿度40%、20~22℃であればいいのにと心の底から願っている。はてなブログのお題は「晴れたらやりたいこと」だけれど、この時期に晴れた場合は家に引きこもって読書かゲームか映画を観るのいずれかだ。

しかし、Achelouは夏にまったく魅力を感じない哀れな男と思われるのもなんだか寂しいので、夏嫌いな僕の、夏最大の楽しみをここに公表する。しかもしっかり、晴れた日でないとできないことだ。

それは「冷気の壁」を感じることだ。

冷気の壁とは何か?

ムワリと暑く、人を殺しかねない日差しで自分の身体が蒸発してしまいそうな、午後1時の東京の猛暑日を想像して頂きたい。少し休もうとあたりを見渡すとスターバックスが目に入る。おそらく冷房が効いている。すでに殺人直射日光から逃げおおせた人で賑わっているが、関係ない。一刻の猶予もない。立て掛け式の黒板に、手書きでうまそうなフラペチーノのイラストが書かれていて、そういえば喉もカラカラだったと気が付く。

フラフラと自動ドアの前まで歩く。自動ドアが開く。重いガラスのドアが滑るレールの上をまたいだ瞬間、まとわりついていた湿気と熱気が一気に剥がれ落ち、代わりにひんやりとした空気が全身を包む。まるで自動ドアのレーンにそって冷気の壁があり、それを暑くなった身体で突き抜けるような感覚だ。

これが僕が夏の時期にとても大切にしていることだ。

冷気の壁は喫茶店の場合ハズレが多い。オープンテラスの席などがある店は冷房のインダストリアルな涼しさではなく、自然に吹く風を店内に取り入れるなど、シャレオツなことをする。シャレオツだが、涼しくない可能性が高い。それではだめだ。

一番冷気の壁を感じやすいのは、地域密着型のスーパーだ。

地球温暖化なんて我々の辞書にはありません。魚が腐ったらどうするんだ!」

という具合に、風邪を引きそうなレベルでガンガン冷房を効かせる。これがいい。この取って付けたような容赦のない涼しさの押し売りが、僕にはちょうどいい。

「ん゛あ゛~゛~゛~゛ずずじい゛~゛~゛~゛」と呻くように声を出してしまうが、びっくりしないでほしい。

これが僕の夏の楽しみ方なのだ。