点の記録

点と点が結ばれるのをじっと待つブログ。主に書籍について。サブで音楽やら映画やら。

『カウボーイ・ビバップ』──モブも含めて全員格好良い

COWBOY BEBOP Blu-ray BOX (通常版)

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『カウボーイ・ビバップ』を見始めたのは確か大学生の頃だった。

サブカル知識をたくさん身につけ、オタク界隈でマウントを取れるような人になろうと思っていたからである。しかし、当時は『カウボーイ・ビバップ』の印象は、「なんでこんなに評価が高いのか」というものだった。ただ、あるきっかけがあってそれも一変した。今では「登場するモブまで全部格好良い!最高!!」という感じ。

『カウボーイ・ビバップ』はサンライズが制作したSFアニメ作品。

舞台は2071年、火星を中心とした太陽系。

主人公はモジャ頭の長身痩せ型の男スパイクとゴリマッチョなヒゲ面で義手のジェット。彼らはボロ宇宙船「ビバップ号」を拠点としている賞金稼ぎ(カウボーイ)だ。金に余裕はない。賞金首を狙う過程で発生した損害賠償や慰謝料などでパーになってしまうこともしばしばである。後になって現れる訳ありヒロインのフェイ、幼いにもかかわらず凄腕ハッカーであるエド、そしてデータ犬というやけに頭が良い犬のアイン(この犬がかわいい)が、緩い絆で結ばれつつ、賞金首を追う生活を26話で描く。

冒頭でも書いたとおり、「なんでこんなに評価が高いのか」という第1印象だった。何故かと言うと、第1話が暗い。落ちもヤマもいまいち。声優の演技がとても自然な感じで、そこは好きだと思ったけれど、正直こういう話が続くのはキツいかも……と思った。なので、そこまでモチベーションもあがらず、ギリギリ忘れない程度に、2ヶ月間くらいの期間で全話を観るという感じになってしまった。つまらない必修科目を淡々とこなす感覚であったのがいけなかったのかもしれない。

じゃあなんでこの記事書いているのか。

友人のアリクイくんが「ビバップのオールナイト上映のチケット取れた!」とはしゃいでいたのを聞いて、そういえばビバップってあったな~という感じにしか思っていなかったんだけど、急遽出張に行かねばならないということで、泣く泣くそのチケットを譲ってくれた。今では少し申し訳ないけれど、本当に感謝したい。

僕が行ったのは『カウボーイ・ビバップ』の前半13話を夜9時から翌日朝5時前までに見切るという内容のものだった。「オールナイト○本立て!」系の上映イベントは、以前挑戦したことがあった。その時は、クリストファー・ノーラン作品3本で、『インセプション』の途中で寝た。

今回も寝ないようにしなきゃと思っていたけれど、それは杞憂に終わった。面白すぎて寝ている場合か!あっという間に13話に到達し、興奮さめないうちに帰宅してしまって、あまり眠れなかった。睡眠を取ってから、残りの全話を観た。そのまま計3週目に突入して観た。ビバップの世界観に、いまさらながらかなり魅力を感じるようになった。

この作品、いいな……と思ったのは、ビバップ号の船員それぞれの「訳あり」エピソードと、しっかりとその設定に基づく行動を取っているので、まったくのSFにもかかわらず、感情移入が容易だ。ただその感情移入は、観ている最中に起きるのではない。観た後になって、ふと「ああ、だからああいう事を言った」「そうか、だからあんなことをした」と想像するのが楽しい。そういう味わい深い作品だ。遅効性の毒のようにじわじわ効いてきて、観ていないときなどに思い出し、こみ上げてくるものがある。

モブキャラやサブキャラなどにも同じように「あれってそういうことかも」と考えるようになる。敵味方、メインキャラサブキャラ関係なく、ほとんどすべてに魅力を感じるようになる。気がついたらもうやられている。恐ろしい作品だ。

たまに狙いすぎたキザっぽいセリフが飛んでくるので、それがちょっと恥ずかしく感じてしまう人がいるかもしれない。でも20〜30代なら、そんなことを思う暇もなく、この世界観にどハマりできるはず。

こういう楽しみ方、魅力の種類って何かに似てるなと思いをめぐらしてみると、小説を読んでいるときに感じる感動のソレかと思われた。最初の印象はいまいちでも、ある気付きを得て、しかもその気付きが原因で、また読み返したくなる。『カウボーイ・ビバップ』が長年に渡って愛されてきた理由がここにある気がする。でなければ、わざわざオールナイトイベントが満席にはならない。

先日亡くなった石塚運昇さんの演技に溺れることができる作品でもある。

まだ観てないというなら、とりあえず1話でうーんと思っても、最初の5話まで観てほしい。なんなら、そのまま最後まで観てほしいし、繰り返し観てほしい。

カウボーイビバップ サントラ1

カウボーイビバップ サントラ1

 

内容が好きになれないなあと思っている人でも、サントラはアニメ・サントラの中でも名盤と名高いので、音楽から入ってくださるのもいいですね!