点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』

 92年から98年というバブル崩壊後7年間に渡って制作されたOVAアニメシリーズ。『ジャイアントロボ』のみならず、『鉄人28号』『バビル2世』『三国志』などを世に出した漫画家・横山光輝の作中キャラクターたちを、姿そのまま、名前もそのまま(一部すこし変えて)で全くの別人として登場するSFロボットアニメ作りましたというお祭り的な作品。イロモノといえばイロモノ。ジャイアントロボという単語を出せば、本家本元のジャイアントロボよりも、こちらの作品を挙げる人もいるくらいの人気作品だという、カルト的人気を博しているという理由1点のみで視聴。

 結論としては、見れてよかった。

 ロボアニメ、さらに横山光輝作品ビギナーである僕が、この作品の魅力を伝えるときに使えるワードは限られる。アニメーターがどうとか、監督の他の作品との関連性とか、広範囲に渡る知識を前提とした文章はかけない。どうしても感覚的にならざるを得ない。なので、この映画のどの部分に一番魅力を感じたのか?というところに焦点をあてたい。

 このOVA作品の魅力は「限度を超えた過剰さ」にある。

 とにかくすべての演出が過剰。設定も過剰。声優の演技も過剰。アニメーターの技術がこれでもかと詰め込まれ、音楽はフルオーケストラ楽曲という過剰の権化のような作品。「アニメ的格好良さ」言い換えるならば「ウケの良さ」をこれでもか!これでもか!と馬乗りされて殴り続けられる感覚。中には冷めてしまう人もいるだろう。ただし僕は快感でしかなかった。

 全く知らな人向けに、内容をちらっと書いておく。

 完全無公害の夢のエネルギー「シズマドライブ」が普及し、あらゆるエネルギー源がシズマドライブに取って代わった近未来が舞台。その裏側で、悪の組織「BF団」が世界各国で暗躍しはじめた。彼らの世界征服に対抗すべく組織されたのが、「国際警察機構」であり、超人的能力を持ち合わせる「エキスパート」の一員として、12歳の少年草間大作は、彼の声に反応して動く巨大ロボ「ジャイアントロボ」を操縦し活躍していた……というのが背景となる。

 オープニングシーンで、このBF団がシズマドライブを動力源としたロボットが沢山出てきて、街を破壊したりするシーンが出てくるんだけど、本編中にはもうほとんど登場しない。ロボアニメのはずなのに、BF団が組織する悪の超人エージェントと、国際警察機構のエキスパートのおっちゃん達が戦う、つまり超人VS超人のシーンが大半を占めている。途中からロボアニメ見てる感覚ではなくなる。

 こいつらの超人っぷりが凄まじい。車より早く走れるし、空飛べるし、衝撃派を打ったり、身体から放電させたり、護符で幻覚を見せたり、指パッチンでかまいたちを発生させて惨殺したりと、なんでもあり。登場人物の能力までもが過剰。たまらん。

 このおっちゃんたちの熱いバトルシーンや、出てくるメカニックやロボの動きが格好良くて格好良くて語彙を失ってしまう。たまに「いやそれは、やりすぎだろ!」というシーンもあるんだけれど、見ているうちに「それでもいい!というよりむしろそれがいい!!」とさえ思ってしまうほど。

 ストーリーとかは、ほら。昔ながらのアニメや漫画って「そんなんありえないじゃん!」というものが多かったし、ね!多少はね!目をつむってもいいんじゃないかな。むしろそのノリを、90年代の新しい解釈で、楽しく観れるものにしている稀有な作品なんじゃないかなと。

 家系とんこつチャーシューメントッピング全部のせ・味濃いめ・背脂増し・麺硬めで頼んだくらいのこってり度。ご賞味あれ。

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EPISODE:1 黒いアタッシュケース