点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

始めて本をブックオフで60冊売ったら725円だった。

 本はとにかく買え!と知の巨人達は仰っている。それを真に受けて、バンバン本を買っていた時期がある。

 どんな悪書でも、悪書なりに役に立つ時が来るだろう!という幻想を勝手に作り、クソ自己啓発本だろうがなんだろうが、手当たり次第に買っていった。それらの中から厳選してクソを全部売った。そしたら725円。新書一冊分の返金となった。

 Twitterでは25円盛って750円ということを書いてしまった。なんで25円ぽっちを盛ろうとしかのか分からない。SNSへの情報発信時には、現実を歪めて伝えてしまえという魔力がある。あなおそろしやSNS。いや、自分の記憶のいい加減さと、思考の都合の良さが恐ろしいのであって、SNSのせいにしてはいけない。反省せよ。

 ちなみに、下限が一冊5円で、一番高いもので40円だった。そして60冊持っていったがそのうち15冊は買い取り不能であった。

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 個人的に、『思考は現実化する』の文庫本がこの40円ゾーンにランクインしていることが意外だったのだが、その疑問はすぐに解消された。あれは有無を言わさず名著である。

 『思考は現実化する』のナポレオン・ヒルといえば、晩年を貧しく孤独に過ごしたと言わており、鉄鋼王カーネギーの遺族から、「ナポレオン・ヒルなんてやつとの接点無いぜ」と後々になって言われてしまって、本書の信頼性が失わた。しかしそれでも名著である。彼が身をもって「思考は現実化しない」ということを教えてくれたからだ。

 自己啓発本とは、著者の生き様で価値が決まる。『思考は現実化する』について、信憑性を落とす事実が明るみに出たのにも関わらず、何度も版を重ねるのか長年謎であったが、こういうことだったのだ。あの書にかかれていることを実行しても、「思考は現実化する」ことを約束されるのではないことを、著者が体現した。このことを忘れないための書である。この世はカオスから成り立っていることをまず認めよ。

 どうりで『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 』よりも価値がつくはずである。こちらの方は5円だった。一時的に流行した本というのは安価で買い取られるものなのだと身をもって体感した。アマゾンマーケットプレイスで確認しても最安値は1円であった。ちなみに、『思考は現実化する』よりもいいことを書いている本である。それは間違いないのだが、何故売ったのかというと、ブラック企業が何たるかを現実で知り、もう忘れることがもう無くなったので、手放すことにした。

 実は、まだ売ってしまおうという本が保留状態であるのだけれど、これもまた、元気な時に売ってしまおうと思っている。内容がかぶる本とか、古すぎることによって読んだ時に誤解してしまうような本など。データが古くても、その一冊の中に込められた視座が良質であれば残す。というか、その本の内容を覚えておきたいか?という視点で見れば、もっと本を整理できるかもしれない。

 積読の有用性を説く知的言論人もいる。その本が有るだけで、インスピレーションが生まれるらしいが、僕にはあのクソ自己啓発本の背表紙を見て、新しいインスピレーションを生み出せるパワーは無かった。そういう力のない凡人であり、新しい本を置くスペースが限られる貧乏人である僕のような人間は、頭の中の書棚とセットで、本棚の整理をつけていくべきかもしれない。

 ちなみに725円で、さっそく有るものを買った。

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キメたぜ

今からナボコフの文学講義をギンギンで読むぜ。じゃあな!