【2019年版】平沢進さんのFUJI ROCKの感想。Nice Nice Very Nice。
僕が好きな平沢進さんというアーティストがFUJI ROCKに出たんですよ。
いやぁ、よかった。めっちゃ良かった。
おじさんライブ終わったあと3週くらいしちゃったよ。
平沢ファンも喜ばせ、なおかつ初めて聴く人も比較的聴きやすいセットリストだったと思います。
僕はFUJI ROCK現地ではなく、You Tubeのライブ配信で観ていたんですけど、会場の歓声と一緒のタイミングで、「うおぉぉ……」と声が漏れ出て、勝手に一体感に浸っておりました。
今回は「教祖の出張」と形容できるほどに、楽器演奏意外の非言語パフォーマンスが多く、かなり宗教的な雰囲気をかもしていましたね。
怪しいものが好きな初見さんをイチコロにしたんじゃないかなあと思います。
備忘録として、セットリストと、配信を通して感じたことなどを、自分の中でホットな内に書き留めて置こうと思います。
0.出囃子
巨大スクリーンに映し出される平沢マーク。*1
平沢マークがまるで生物のようにスクリーンを蠢き、分身したり、曼荼羅的な円形に集合したり、拡大縮小したりしながら、視覚的にさっそくトリップ。早くも聴衆を変性意識状態に。
ブリブリのシンセサウンドと、お得意の平沢ボイスのサンプリングを組み合わせたハイテンポな楽曲。
すると、幽霊のように現れる会人(EJIN)達。見た目重そうな銀色のハンマーをサンプラーに叩きつけ、バシンバシンとスネア音を響かせること4回、教祖平沢進登場。
振り向きながら手を上から横に広げる背伸びのポーズ。
ブザー音が鳴り響き……
1.TOWN-0 PHASE-5(救済の技法より)
インヤー!で始まるヒットチューン。
レーザーハープでぶつ切りにした多重コーラスを掻き鳴らし、原曲にはないコラージュ感。原曲はストリングス系の音が目立つような、ゲームのサウンドトラックを彷彿とさせる音使いですが、ゲストプレイヤーの会人によるギタープレイを激推したロックサウンドになっておりました。
会人は終始ギターを通常の持ち方で持っていましたが、平沢さんはギターを使わないときは、忍者が使う刀のように背負っている形で、そのフォルムが格好良かったです。
会場も一緒に多重コーラス部分を合唱していて、その瞬間にFUJI ROCK行けばよかったって本当に思った。
2.Archetype Engine(Sim Cityより)
この曲でもギターを多用したアレンジに変わっておりまして、「お、今回のライブの楽曲はギターバリバリにする感じか?」という期待感が募ります。
『回=回』という前年~今年にかけてやっていたライブのアレンジのオケでした。レーザーハープ大放出。中国拳法のような動きで鉄の板の間をチョップする壮年男性に釘付け。そして近年のArchetype Engineの中でもダントツにギターソロが格好良かったと思います。
さらに、65歳とは思えない発声。バリバリに格好良かったです。
3.フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ(Another Gameより)
本来なら一般聴衆をふるいにかける楽曲のハズなんですが、2005年に公演した『Live Vistoron』のオケを基調としたアレンジでの演奏になっており、かーなーりダンサブルになっておりまして、普通に盛り上がれる楽曲に化けてました。
「フルヘッヘッヘッ……」と徐々にテンションを上げながらシャウトして、「もー」とか言ったあとに手拍子する曲なんですけどね……。
え?って感じだよね。俺も最初そうだったんだ。
でも格好良く見えちゃうんだから、音楽の洗脳って恐ろしいよね~。
ここでもレーザーハープがめちゃ活躍。
一曲目で使われていたような多重コーラスやブラスのサンプリングが仕込まれており、ヘッヘヘッヘ言いながら腕をワチャワチャ動かす壮年男性を見守るワシ。
フルヘッ!で締まる。
ホッとしました。
4.聖馬蹄形惑星の大詐欺師(点呼する惑星より)
アンコールなどで演奏されるアンセム。
イントロでは、「ハーイッハイ!イヤハハイヤッ!ハァッハハーア?フーゥウゥ!」というボイスサンプリングが入ってるんですけど、オーディエンスが大合唱するという調教っぷりに思わず「俺ってやっぱり宗教に入ってるんだな……」と思いました。
更に、サビ前の米良美一もびっくりの裏声パートでは、またもや腕を大きく上に上げて横にゆっくり下ろす運動を行っておりまして、「宗教に入っていたわ(確定)」という感じで、FUJI ROCK大丈夫なんかこの人呼んで……と変な心配をしてしまった。
もともとベンチャーズっぽいギターが目立つ楽曲なので、ギター要素がちょい足し程度。アレンジ的には、原曲と目立った変更点はなかったです。
あ、宗教感が増してた意外はなかったです。
5.アディオス(ホログラムを登る男より)
爽やかソング。歌詞がとても好き。
行こう どこかでは
荒んでもキミはまだキミ
アディオス 濡れていこう
清廉の雨
普段のライブではこの曲でレーザーハープを使うことあまりないんですけど、今回は素早い空手チョップで、「ドビュッシーの曲を打ち込んだのをぶつ切りにしたサンプリング」の部分を演奏していました。
この楽曲のオイシイところで、ちょっとオケとずれて歌ってしまったっぽいんですけど、そこで口パク疑っていた人が気がつくんですよね。「あ、生歌やん」って。
いつもより人間アピールが多めでした。
6.アヴァター・アローン(ホログラムを登る男より)
ホログラムを登る男の2曲目。4年前とは思えないなあ。
途中ちょっと高音がキツそうでした。
楽曲アレンジについては、サビ部分でのストリングスとギターのユニゾンくらいの控えめな変更くらい。
いやあでも、ライブだと音響がドンシャリになりますし、特に低音がブリブリになりますから、普段CD音源で聴く異常の迫力があるなあと。
そして平沢さん、サビで気功を発動。
腕を広げ、会人達を見えないパワーで操るという演出が。
これを素直にカッコいいと思ってしまった僕はすでに洗脳済みなんだろうな。
7.夢みる機械(サイエンスの幽霊より)
ギターとチューブラベル、コントラバスの怪しげな前奏。ドラッグオンドラグーンのサウンドトラックを彷彿とさせるマッドな雰囲気。モニターには電撃マーク。
次の瞬間テスラコイルが放つガチ電撃サウンドが!会人の持つラウンチパッドの操作によって、MIDI制御されたテスラコイルが大暴れ!
夢みる機械はマッド・サイエンティストの旅行記のような内容の歌詞。ほとんどセリフなんですね。
ここでも平沢さん気功を発動。
会人、そして観客に対して気功を使いました。
ライブ中盤にして、観客までも気功の餌食にした平沢さん。
この洗脳を受けた人、一生取れないから安心して。
サビのエントロピーは、いつもよりもおおきく振りかぶるようにして、
テスラコイルに敬意を表するポーズ。
エントロピー!ネゲンドロピー!
洗脳完了。
8.ジャングルベッド(Potpourri)より
まさかの選曲。これは予想できませんでした。
平沢さんが以前フロントマンを務めていたP-MODELというバンドの3枚目のアルバムからの選曲。
特徴的なギターリフが続くシンプルな楽曲なんですが、ベースはシンセベースに置き換わり、テスラコイルもまだまだ電源放出し足りないと続投。
Ho!という掛け声はオーディエンスも一緒にHo!
そしてーーー!ここでーーー!
まさかの歌詞付き~~~~!!!!
初聴きの人へ。
Q.伸びやかな65歳おじさんのミラクルボイスに一番驚かされたのはだあれ~~~♪
A.馬骨*2
9.新曲
これ。
動画では超短いけれども、非常に格好良かったです。インスト曲でした。
音使いは近年の核P-MODELが最も近いと思います。シンセベースに、生ドラムを基本としたリズム、そしてベンチャーズを彷彿とさせるギターのノスタルジックなサウンドが融合して……???
やっぱりよくわからないけどかっこええんじゃ~~
という感想。きっと、いま作成しているというギターアルバムに入れてくれると思います。
キメのところでは、平沢さんと会人が左に向くという振り付けがあり、統一感あるなあと。もうこの3人でP-MODELやったらって、それ一番言われてるから。
基本的にずっと平沢さんと会人はギターを弾いていました。これは近年の平沢ライブの中でもかなり珍しいと思うんですね。
10.Nurse Cafe(SIREN)
暗転から、パッと照明ON!
バックスクリーンには、バーコードをウルトラQみたいにした怪しい模様と、その中心に平沢マークが映し出される画面に切り替わり、
「ァアォアァヴォッオッ……ヘッ」
という薄気味悪いボイスサンプリングが。
でもね、僕は大好きだから、この変な声聞こえて一発で、
「ンァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!」とか叫んじゃってたんだよね。
新アレンジのNurse Cafeは、基礎が「Switched On Lotus」に収録されていたものと近いものになっていました。ライブ配信後何度も聴いてたら、結構別ものでして、僕的にはもう、ほんとに、最高でした。
レーザーハープで男性コーラスのサンプリングを繰り出す平沢さん。ここで、今回、このコーラスの素材がはっきり聞き取れて、全部別の素材だったという新しい発見がありました。
そういう意味でも美味しかった!
会場からも「ナースカフェへ!」の大合唱!
ああ~~僕も鼻歌を添えて群衆には振り返らずハイヤイヤイヨーってFUJI ROCK行けばよかった~~~ん!!
11.オーロラ3(Live白虎野記念音源)
あっ!
救済の技法だ!!
だってそうでしょ。バックスクリーン見てみ。ほら。赤い筋が入っておるじゃろ。
コレじゃ。
今に平沢さんがレーザーハープ弾くぞ。
そしたら「オォォォオンンンンンナアァァァァァアアアアアァァア」
っていうアレが聞こえてくるぞ~~~!Fooo~~~!!!
あれ、なんか……あれ?違くない?
なんか三味線っぽいギター格好良くない?
最近の平沢さんのお得意になっているライザーサウンド*3が極まったところで静寂!ノイズがチリチリ聞こえ、会人のギターが響くと!!
「海峡の夜のように~~♪」
あっれーーーー!!!
オーーーーロラだーーーーーーーー!!!!!
やったーーー!!!!!
しかもオーロラ3という、ファンの中で比較的人気の高いバージョンが基本となっておりました。暴れストリングスがギターに取って代わり(後ろの方でうっすら聴こえてる程度)、全然雰囲気が違う仕上がりになってまして。和のテイストもあり、めちゃ良かった。
絶対絶対、Liveの方法3で出してくれよな!って感じでした。
12.白虎野(白虎野より)
イントロの段階でFOOOOOO~~~~~って歓声あがってたので僕も一緒にFOOOOOO~~~~~してました。
イントロ部分で会人が奏でるギターがエコー効いてて、ポストロック味があって最高だったって何回でも言う。
ここで、遠くの沢事件勃発。
Live何周もしたおじさんが言うんだから間違いないよ。あれは遠くの沢って言ってた。
歌詞ごにょらせて人間アピールやめてください。#平沢進会人ライブフジロック0728
— Achelou (@Achelou_y) 2019年7月28日
テンションぶち上がっていたのでこんなこと呟いたらRTといいねで馬骨からマークされた。怖かった。
とにかくこの人、喉化け物でした。カラオケで歌ったことのある馬骨男子なら分かると思うんですけど、これ喉ちんこアディオス曲なんですよね。
それを軽々歌ってのけるんだもんね。65歳じゃないですよこの人。
蛇足トリビア:これとよ~~~く似ている「白虎野の娘」という曲は、『パプリカ』というアニメ映画の主題歌になっていたので、アカデミー賞楽曲賞のノミネート候補になったこともあったんじゃぞ。要チェックじゃ!
最後に
アンコールで『回路OFF回路ON』やったって聞いたときにゃあ、もうショックで「ナッナァアァナッナァアァ♪」って思わず口からこぼれちゃったもんねイントロが。
ちなみに、テレビ画面にHDMIをつなげて視聴してて、ちょうどアディオスくらいに父親が部屋に降臨したんですけど、
「65歳!?このおじいちゃんすごいねぇ!!俺も負けてらんない」
「いいじゃん平沢。動いた平沢始めてみたけど良かったよ!」
って言ってて、それがこのライブ見て最近一番うれしかったかもしれないっていうのは内緒。とにかく、セットリストが初見の人が聴いても大丈夫だった(だろう)し、演出に非常に力を入れていたので、パフォーマンスにおける説得力が氾濫状態だった。
まだまだ元気に音楽作り続けて欲しいって本当に思います。
ラブアンドピース。