何かをおすすめされたらすること──そしてマウントクソ野郎との付き合い方
昨日1500字がちょうど良いとか記事で書いたのに1500字超える文章を投稿するってどうなの?でもずっと下書きで「そろそろ成仏いいすか」って訴えかけてきていた記事だったんです。それを加筆修正したものです。お焚き上げ~。
おすすめ戦国時代
Twitterで「スペース」なるサービスが始まってからこっち、至るところで「おすすめ合戦」が行われておる。いや、以前から行われておったものが、スペースによってより可視化されたと表現したほうが良かろう。
知的マンティングの試合なんぞ醜くて見ていられない、もしくはされたら腹が立って仕方がないというそこのボーイズアンドガールズアンドレディースアンドジェントルメンに伝えたいことがある。知的マウントを取りたい人間はどうしようもないが、彼らの知識に罪はないのだ。
彼らと戦わない選択肢を取り、心を開けば、マウントされればされるほど、自分の引き出しの数が増える。そんな、新事実でも何でも無い精神論+αをここに記す。
ステップ1:心を開け
それできたら苦労しねえんだわって人ごめんね。
マウンティングしてくる人間にどれだけ心を開くことができるか。実は勝負は殆どここで決まる。どんなにムカつく相手であったとしても、「先生!おなしゃす!」と心の中で慕えるかが、自分の引き出しの肥やしになるかならないかの大きな分かれ道だ。
人間は情報をフィルタリングする。カクテルパーティー効果をきいたことがあるか。
立食パーティーを想像してほしい。物理的な距離が近く、デシベル的な意味でも大きいはずの背後にいる人間の声よりも、対面し、話を聞こうとしている人間の声のほうがよく聞こえるのは、脳がその時重要である人間の声を選り分け、意識に上がりにくくしているからである。
マウンティングしてくるやつから知識だけを盗むときにも同じことが言える……というのはこじつけかもしれないが、同じ原理が働くのではないかと僕は思っている。気分を害したりムカついたりすると、相手の重要度が下がる。不必要な人間と断定する頃には「苛立つノイズ」にしか聞こえなくなってしまう。
もとから器の大きい人間は得をする。僕のような狭量な人間は、意識して相手の話に耳を傾ける必要がある。嫌いだったり、苦手な相手を好きになる必要は無いが、自分にとって重要な情報を教えてくれるマシーン程度には心を開こう。
冒頭で述べたとおり、先生だと認識できれば一番よろしいが、結構難しい。
ステップ2:捌け!
さて、いくら心を開いても、マウントクソ野郎たちとの会話は疲れるだろう。疲れた脳にはご褒美をあげねばなるまい。そう、おすすめされた作品を実際に楽しむターンである。
おすすめされた作品は、まな板の上にデデーンと乗っかった魚と考える必要がある。痛む前に調理しなければ、正直人からのおすすめなんて一生触れない。
別に触れなかったからといって困ることの方が少ないのだが、「いい加減観たほうがいいよ~」とか「まだ聴いてないのか」というサイコパスマウント野郎には腹が立つし、「あ、まあでも、時間とかね!なかなか忙しいか!ハハ(汗)」という常識人が相手だと申し訳なくなる。
レコメンデッド即プレイ!クソダサ……。え、どうしよ、言うのやめようかな。でもいいや。言ったれ。レコメンデッド即プレイ!覚えておいて損は無いと思う。恥ずかしくなるかもしれないので、人には言わないほうが良い。
おすすめされるプロの格言を送る。
「あとで読む」は、あとで読まない。
Dain『私が知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』(技術評論社)P.55
すぐに観ろ!聴け!読め!
ステップ3:ディグれ!
自分が新たなマウント野郎にならないように誓いを立てた者は、おすすめされた作品を元手にして、周辺作品や先行研究などを掘っていく権利が与えられる。
「ディグる」とはほぼ死語であるが、ヒップホップ界隈のDJが使っていた言葉だ。レコードショップで商品の山からキラリと光る作品を掘り起こすことである。
有象無象から自分にとっての良作を掘り起こすには時間が必要だが、時間をかける価値はある。
マウントクソ野郎の知識からではなく、本当に自分が見つけた良モノは、心の底からキメることができるので、おすすめ戦国時代を生き抜くお守り代わりに持っておくと良い。
どうやってディグればいいか分からないって?
僕の経験則だが、こうした作業はあまりにもシステマティックにすると全然おもしろく無くなる。
良モノに出会うとは、ときめきや感動という言葉に言い換えができる。合理的なシステムを構築し、どんどん作品が目の前を通り過ぎる仕組みに身を置いても、ときめきやら感動を感じる時間が無いので、本当に捌くだけでになってしまう。
システムに呑まれないように、泥臭く掘り起こしたほうが宜しい。
それでも全然分からない人は、多分、何もサブスクに入っていないという人だと思う。
新型コロナが猛威を奮った事によって、サブスクリプションサービスは一般的なものになった。あなたが逆張り思考や大手IT企業の世界征服陰謀論者でなければ、何かしらのサービスに加入していると思う。
全く手を付けられない、よくわからないものに1100円だなんて信じられないという抵抗感がある人は、Amazaon Primeがいいだろう。解約し忘れても月額550円が失われるだけだ。
ディグるのは簡単だ。サブスクに加入し、ざーっと聴いていく、見ていく、読んでいくだけだ。書籍であれば図書館や、Kindle Unlimitedを利用してみるのも良い。それでも物足りない人は、You Tubeやニコ動などユーザーコンテンツが主軸の媒体を使ったり、個人ブログを読み漁ったりすれば宜しい。
ステップ4:感想を言え!
マウントクソ野郎ではなく、善良なレコメンダーと仲良くしたい場合は、短くてもいいので感想を伝えてあげよう。とても喜ぶ。ついでに自分がその作品の知識や体験をどれだけ獲得できているかという、腕試しの場にもなる。
善良なレコメンダーと仲良くなると、作品の情報を流してくれるようになるので、あなたにとってありがたい存在となる。
マウントクソ野郎は大概、おすすめのアーティストを羅列して「いや~ちょっと知らないっすね」とか「名前だけなら……」というオドオドした態度を見て満足する種族なので、知識だけ手に入れたらあとは相手にしないで宜しい。自然消滅的さよならを狙おう。
しつこくされたら、「あ、自分アマプラ加入していないんで……」「Spotifyに無いんすよね……」というサブスク活用法もある。
マウントクソ野郎なのか、善良なレコメンダーなのか……それを選り分ける画一的な方法論は無い。己の審美眼を磨くのみである。日々修行なり。
終わりに
もし僕がマウントクソ野郎になっていたら教えてほしい。舌を噛み切る。
イチオシ貼って終わる。