点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

Twitterではなく字数制限が無い場所で格闘してほしい

社会問題を論じるとき、Twitterを未だに論壇として活用する文化人、インテリが多いと感じる。好意的に見れば啓蒙思想の現れだが、神経症的な極右極左の糾弾に遭ったり、誤解されたまま情報が伝わったりと、裏目に出ているケースが目につく。

自分の知性にある程度の自信があるであろう人が、捨てアカからの罵詈雑言、不勉強な連中からのクソリプなどに一喜一憂、もしくは激昂している様子を見るにつけ気の毒に思う。

それらが度重なると、このインテリの方々は承認欲求解消のために付き合っているのかもしれない、とゲスの勘ぐりをしてしまう。バカな僕から見ても、そんなコミュニケーションは実際の社会問題解決の議論として、ほとんど意味を成さないことは理解できる。

建設的な議論はTwitterでは不可能だと考える。それは140字の字数制限と、140字のユニットごとに拡散や評価が可能であるからだ。前者は書き手に怠慢を生じさせ、後者が情報の正確性を狂わす。

わざわざ140字の積み重ねによって長文を書く人間もいる。しかし、理解するためには、Twitterを使い慣れていないと本当に読みにくい。結果、しっかり読もうとするのは、Twitterヘビーユーザー層が多いと想定できる。

ただし、Twitterヘビーユーザー層は、多少決めつけかもしれないが、140字のユニットに慣れてしまっている。つまり全文読んだとしても、実際に読み込めているかどうかも怪しい。

書き手側も字数制限と格闘し、誤解を招くような表現をせざるを得ない状況などができあがって、ますます正確な議論なんて望めない。にもかかわらず、インテリはTwitterを利用したがる。なんで?

議論を尽くすならば、140字以上で行ってほしい。

福島原発やスラップ訴訟、J-POPなどの音楽カルチャーなど多岐にわたって取材をするフリージャーナリストの烏賀陽弘道氏が、自身のYou Tube Liveで「読まれやすい文章の文字数」というものを主張していた。主張をある程度まとまった形にするためには、1600~2000文字が必要であり、この文字数より多くても少なくても読みにくくなるという。

この1600~2000文字というのが人間の思考力が持続する最小ユニットがこの文字数であり、これより多ければ纏まっていない文章と感じ、少なければ説明がしっかりされておらず主張が読み取りにくいと氏は主張する。

以上の主張がなされたYou Tube Liveのタイトルは、「2021.5.28 烏賀陽オンライン  書き手も使う便利で簡単な文章の書き方」だ。文章を書くことを苦手とする人を対象にしたもので、僕も大変参考になった。リンクを貼る。

内容は3時間を超えるが、文章の書き方がはじまるのは1時間44分ごろ。それ以外はコメント対応や、新刊の宣伝、福島第一原発は今どうなっているのかなどで、こちらも興味深い。著者のファンであれば視聴してみるといいかもしれない。


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読みやすい文章に関する科学的なデータは、リサーチしたところ決定的なものは無い。そりゃそうだ。文体や取り扱う題材によって増減するし、言語によっても違う。だから烏賀陽氏の主張をそのまま鵜呑みにして、「政治、環境、社会問題をネットで語る場合は、最低でも1600~2000字でまとめよう」という主張を手放しにすることはできない。ただ、長年出版に携わってきた烏賀陽氏の主張には説得力がある。

Twitterを利用している言論人には是非ともこんくらいのボリュームで記事を書いてほしい。

Twitter論壇の長所は、「主張のインパクトだけである程度のフォロアーを獲得できる」部分にあると思う。プロパガンダ装置として非常に優秀である。主張を裏付けるデータや、主張とデータを結びつける根拠を記載しなくても、その社会問題に対して関心が高い声のでかい人たちが、一つの主張に群がって、勝手に盛り上げてくれるのだから。

しかしそれは同時に短所でもある。いつ誰の発言がバズるか分からない公共の場と化したTwitterでは、多くの人に影響を与えるようなトピックを扱う際には、低質な情報が拡散されないよう注意を払う必要があるはずだ。140字の字数制限に甘えてはいけない。正義の暴走、ヘイトスピーチ、おせっかいな啓蒙でもなんでもいいが、たったの140字の連続で語るには不都合が多すぎる。

以上のことから、インテリに関わらず、自分が社会の問題について語るべきだという責任感のある方々には、社会問題を語るのには脆弱すぎるTwitterよりも、ブログや字数制限の無いFacebookなどを利用してほしいと思う。

もう少しワガママを言うなら、Twitterは日記として使ってほしい。大学教授が「今日めっちゃ仕事だるいけど終わったら休み!帰宅したらスト缶キメるぞ~!!」とか言ってたら僕も頑張れる。