点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

『コンピュータはなぜ動くのか』──今さら聞けない仕組みの話

 

コンピュータはなぜ動くのか?知っておきたいハードウエア&ソフトウエアの基礎知識?
 

図書館で借りた本の中に、あたりがあったので記事を書く。

身の回りにコンピュータが溢れかえっている。我々は、それらが「なぜ動くのか」などと疑問にすら思わない。そこにあることが当たり前になっている。いちいち、なぜ動くのか?という効率の悪いことを考えている暇はない。自分にとって重要な多くの情報が、日々コンピュータを伝って届くから、そっちばかりに目が行く。コンピュータそのものに対する興味関心は、新しく新調する時に「どの機種にしようかな」という程度のものである。

コンピュータは動けばそれでいい。まとめサイトや、TwitterFacebookに流れる情報を追い、YouTubeニコニコ動画で時間を潰し、たまにエロコンテンツを閲覧する道具であればいいと思っている人は多いと思う。何が言いたいかというと、多くの人が、「コンピュータはなぜ動くのか」について知らなくても、何も困らないのだ。

しかし、ちょっと古いデータだけれども、コンピュータについて露ほども分からない状態であることが不安になるデータがある。

調査・統計ニュース - 世界のPC台数が10億台を突破,2014年には20億台に:ITpro

米Gartnerは米国時間2008年6月23日,世界中で設置されているパソコンの台数が10億台を超えたとする調査結果を発表した。同社の試算によると,世界のパソコン台数はインストール・ベースで年間12%増加しており,2014年の前半には20億台を突破する見込み。

最新のデータを見つけることができず、自分のネットリテラシーの低さも恐いが、それはさておく。

よくわからんけど何かとスゲエ役に立つコンピュータは、パソコンだけで2008年時点で約10億台も世界にあり、すでに約20億台突破しているかもしれないという。携帯電話やらスマートフォンやらその他コンピュータを合わせればすごい数になる。少なくとも日本人の人口の20倍ものパソコンがある世の中で、果たしてコンピュータを分からなくてもいいかも、と思えるか。

「よくわからないが、便利である」というのもおかしな話じゃないか。なぜそれが便利なのかを知らないまま使うというのは、「良くわからんけど、この薬を打つとすげえ気持ちいいんだよね~~」とか言いながらドラッグを使用するのと同じだ。

そうは言っても難しい!絶対コンピュータなんてわかりません!20代後半の人でも、こんな風に思っている人がいる。年齢が上がっていくにつれ、「コンピュータとは縁遠い」なんて思っている人が増えているがそんなことは無い。周囲を見よ。すでに逃げ場なし。目に見えずとも、我々は20億台超のコンピュータに囲まれて生活しているのだ。

だから本書の第1章だけでも読んでほしい。コンピュータ入門本の決定版なだけあって、非常にわかりやすいし、コンピュータをもっと知りたくなるような仕掛けがたくさん施されている。第1章のはじめには、このように書かれている。

現在では高度に複雑化してしまったように思えるコンピュータですが、その基本的な仕組みは驚くほどシンプルです。約50年前の初期のコンピュータの時代から何も変わっていません。コンピュータを取り扱う上で絶対的な基礎となることは、たったの3つだけです。これを「コンピュータの3大原則」と呼ぶことにしましょう。どんなに高度で難解な最新技術であっても、この3大原則に照らし合わせて説明できます。

なんとも勇気が出て来る書き出しだ。2003年に出版された古めの書籍ではあるが、その時点で50年前のコンピュータの時代から何も変わっていない。ということは、それだけコンピュータの仕組みとは、絶対的なものであり、凄いのと同時に、今作られているコンピュータの仕組みも原理原則の部分で大きく変わっていないはずだと予測がつく。

基本的にはパソコンで説明されているが、スマートフォンなども原理原則、基本的な仕組みは同じだろうから、読んでおいて損はない。ここではコンピュータの3大原則を紹介してみる。

1.コンピュータは、入力、演算、出力を行う装置である

2.プログラムは、命令とデータの集合体である

3.コンピュータの都合は、人間の感覚と異なる場合がある

これがコンピュータ理解の秘伝だ。この秘伝を知ったらば、あなたはコンピュータの8割を理解したことに他ならない。大げさかといえばそうでもない。それぞれの解説に関しては、是非本書を読んで確認してみてほしい。僕の駄文であーだこーだ書いたものを読むよりも、スッと入ってくるだろう。

『ブラック彼氏』──女性は結婚をするとき、何が気になるのか

 

ブラック彼氏  恋愛と結婚で失敗しない50のポイント

ブラック彼氏 恋愛と結婚で失敗しない50のポイント

 

恋愛本を読むということは、どことなく恥ずかしいような気がしていた。恋愛なんかに必死になってどうするの?とか思っていたからだ。僕は顔が良い方でも、モテる方でもない。完全無欠のインドア非モテみたいな見た目と性格をしている。「モテたいな~」とか言っておきながらモテる努力を一向にしないそこの君。僕と同じだね。意識低い非モテ同盟でも組んでやろうかと思ったりしないでもないが、それはまた別の話。

この本、気まぐれに図書館で借りてきた本なんだけど、買ってもいいかなというくらい為になった気がする。恋愛本、特に女性が女性向けに書いた本というのは、男性に対して媚びていない。こんな男はダメ、ゼッタイ!とボコボコに殴る。

著者の堀井亜生さんはフラクタル法律事務所代表弁護士であり、離婚・男女問題の取扱実績が多い方だ。彼女に舞い込んできた案件から、統計的にあぶり出されたブラック彼氏像を紹介する本であり、ブラック彼氏の見分け方、ブラック彼氏と付き合ってしまったらどうするかという対処までしっかりと書いてある。

本書はブラック企業をもじったブラック彼氏を次のように説明している。

 本書のタイトルである「ブラック彼氏」とは、一見すると高スペックなのに、結婚した後でとんでもない事故物件だったことが発覚してしまう男性を指します。
 たとえば、結婚前は優しかったのに、結婚したらひどいモラハラ夫になってしまったとか、結婚前は羽振りが良かったのに、結婚したらドケチ夫だったなど、結婚前に隠れていたブラック性が結婚後に現れる男性は、案外多いものなのです。

本書ではこうしたブラック彼氏を5つのタイプに分けている。

「隠れモラハラ系」──人間的な器が小さく、独りよがりで、自分の価値観を女性に押し付けるタイプ。

「隠れ浮気系」──かっこよくもなく遊び人にも見えないのに、ためらいもなく浮気するタイプ

「隠れマザコン系」──親から独立してひとり暮らしを始めたり、彼女ができたりして一見自立しているように見えても、母親依存の関係を解消できないタイプ

「隠れドケチ系」──高収入でお金があるのに、コストパフォーマンスを重視してこれを使わないことに命をかけるタイプ

「隠れDV系」──一見して優しそうなのに、結婚後に暴力を振るうタイプ

あなたの彼氏、もしくはあなた自身はどのタイプか?

それぞれのタイプに10個の見分けるポイントを解説しているので、読みやすさは抜群。テンポよく彼氏のあら捜しができる作りになっているので、普段読書しない人も読んでみると良い。ちなみに僕は「ファッションが休日のパパ」「週末になると実家に帰る」「あまり上手ではないけど一応料理ができる」という理由で、「隠れマザコン系」に一番近い結果とあいなりました。うるせえ!男はみんなマザコンじゃい!!ビートたけしも言っていることだ。

男性である僕がこの本を読んでよかったことは何か。それは、恋愛関係から結婚し、相手の良くない部分が見えてくるというのは、よく聞く話だよね~~と一蹴すべきではないということに気がついたことである。

自分が普段している何気ない行動が、実はブラック彼氏の条件にあてはまっていたとしたら……と考えれば、恐ろしい。それを知らずに格好だけ良く恋人関係を続け、結婚した途端に素が出て相手をドン引きさせ、運良く長く夫婦関係を続けられたとしても、子どもを育て終わった40代後半~50代前半になって、三行半を突きつけられることになる可能性が高まることは間違いないのだ。

分かりやすく書かれている分、「それは著者の主観でしょ?」と言いたくなる気持ちをぐっとこらえて、「そうか、女性は男性のこういうところが嫌だと思いやすいのだな」と素直に受け止めたほうが、読んでいて、多分ダメージも少ないし、きっと為になるんじゃないかな。

『マヤさんの夜更かし』──真夜中の通話は楽しい

 

本作は、怠惰な生活を送る魔女のマヤさん(表紙のキャラクター)と、漫画家志望の女性、豆山(まめやま)によって繰り広げられる、壮絶ゆるゆる深夜音声通話エンターテイメントである。

中野ブロードウェイの中の書店で購入した。試し読み用に吊るされたペーパーブックを読んでみると、なかなかにツボだったのでそのまま衝動買いをしてしまった。

インターネット上だけの友達と交流してきた経験がある僕みたいな人間は、深夜通話特有の、あの雰囲気を追体験できる。このニッチな部分にフォーカスを当てつつ、魔女のマヤさんというファンタジーな存在を備えたキャラクターがいることで、単なるスカイプ会話劇にならず、流れに動きを付けているのがいいなと思った。マヤさんのダメッぷり(ソシャゲ課金廃人、家事できない、おしゃれもイマイチ、魔法を使うと腹痛くなる等)も愛嬌がある。現代社会の悩める女性フリーター代表のような感じで描かれている。魔女なのに。

基本的には夜中の通話模様を描いており、基本的にそれ以外の描写は少ない。ほとんど2人の会話だけだが、かなりテンポが良いのですらすら読める。これだけ色々共有できて話せる相手がいたらな~とか、読んだら思う人も出てくるんだろう。

真夜中の通話の何が魅力的かといえば、もう本当にどうしようもない、どうでもいい話が、最高に面白く思えるところだ。僕も何回かネット、リアル問わず深夜に通話をしたことがあるけれど、中身なんて無くてもいいので、とりあえず頭に思いついた話題をふってみたり、相手が言ったことに対して受け答えをしているだけなんだけど、マジで楽しい。

もちろん親しい人間との会話であることは大前提なんだけどね。

この作品の中の2人を見ていると、ネット上だけの知り合いと音声通話をしているときのことを思い出す。豆山は、マヤさんと実際に会ったことはある。少しの間同じ病室で時間を共有した。だがマヤさんが本当に魔女であることだとか、マヤさんの素性についてはさほど知らない。けれど、いつも通話をしているので、人間性だとか、性格だとか、近況という一部の情報だけ知りすぎている。

こういう人間関係って、ネットに生まれがちじゃないかって思う。

互いのことをさほど知らずとも、仲良く喋ったりすることができる、不思議な間柄の、不思議な時間共有体験は、ネットならではだ。「こんなにウマが合うのに、会ったことすら無い」とか「もっと近くに住んでりゃ、実際にあって遊ぶのに」と思うような人物って、ネットで友達を作ったことがない人からすると不思議、というよりも気味悪いと思うんだけど、あるんですよそういうの。

マヤさんみたいに、人付き合いが少し苦手な人にネットをもたせるとこうなるよなという縮図として捉えるのも面白いかもしれないけれど、そうしたマジメぶった考察を受け付けない圧倒的ユル可愛さ。そうそう、こういうどうでもいい話ができる相手がいるって、それだけで人生結構楽しいよなぁ。漠然とそんなことを思える作品だ。

 

単行本

マヤさんの夜ふかし 1 (ゼノンコミックス)

マヤさんの夜ふかし 1 (ゼノンコミックス)

 
マヤさんの夜ふかし 2 (ゼノンコミックス)

マヤさんの夜ふかし 2 (ゼノンコミックス)