点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

クソ読書のススメ

※個人的な本の読み方についての記事です。途中下品な表現もあります。要注意。

クソ読書とは

 今回は僕が行っている「クソ読書」について書きたい。
 クソ読書とは「読書に対して"真面目"で、"勉強熱心"な認識を持っている人から見たら、クソみたいなスタンスで行う読書」のことだ。
 僕がクソ読書に分類しているのは以下の3つだ。

  1.  寝るための読書(寝落ちクソ読書)
  2.  本を選別するための読書(役立つクソ読書)
  3.  トイレでする読書(正真正銘クソ読書)

 1つずつ語っていく。
 読書のハードルが下がり、少しでも本を読む人が増えたら良いなと思う。

1. 寝るための読書―寝落ちクソ読書

 睡眠に関する健康本でも読書は有効であると書かれていることが多い。自分も眠れない時は読書をすることで眠気を召喚する。

 眠気さんを召喚するには鉄の掟がある。それはもちろん今の自分にとってつまらない本を選ぶことだ。SF小説を読みたい気分の時にニューロマンサーなんて読んでみなさい。朝まで読書するハメになる。そうならないために、読む気がしない本を敢えて選んで、ゆっくり読むことが重要だ。
 さらに言えば、読書を「やる気スイッチ」として認識している人は、この眠るためのクソ読書を実践するときには、「眠気スイッチ」として認識しなければならない。
 要するに実践する際には、眠ることが前提にあることをお忘れなく。眠る前にやる気が出てしまい、興味ないことも吸収しよう!なんてことになったら本末転倒だ。

 おすすめなのは教科書だったり専門書だったり、知識増強を目的として書かれた本。事実が淡々と記述されているようなものが望ましい。
 岩波文庫で出されている社会科学系の書籍は、きっと良い睡眠導入剤になるはずだ。

 もし読んでいる本が万が一面白いと感じてしまったら、即座に読むのをやめ、別の本を読むようにする。これを繰り返しているうちに、いつの間にか意識を失っている。やったぜ。

 なお、活字中毒者に対しては無効である。

2. 本を選別するための読書―役立つクソ読書

 次は本を選ぶときに使うクソ読書。クソ読書って名前は妥当じゃないかもしれない……。
 もともと本が好きって人向け。興味ないなら飛ばしてください。


 読むべき本なのか、読まざるべき本なのか。これは情報が氾濫する現代社会において、多忙のなか少ない時間を削って、少しでも有意義な読書体験をしたいという方ならば、誰しもが気になることであろう。
 それ故に本を選ぶとき、ネット書店やアマゾンのユーザーレビューを判断材料にしてみたり、書評本に頼りきりになってしまったりする。書評ブログを読んで本を読んだ気になっていたりしていませんか。大丈夫ですか。

 Amazonレビューや楽天市場のレビューを参考にしながら本をポチる前に、まず自分で手にとってみて、読んで、それから買うかどうかを決めても遅くはない。レアな本をオークションで競り落とすぞ!という人でもないのに、購入するかしないかの判断を急ぐことはない。
 良質な本であるという評価を信じこんで買ってみたら大したことなかった……とか、自分には合わなかったな……という経験が多いという方は要注意だ。当たり前だけど、本は人が書いたものだ。いくら客観的な視点で書かれている本だとしても、文体や表現の仕方にその人の性格やクセが出てくる。そこから、自分に合うのか合わないのかという問題が出てくるけれど、合うか合わないかは、読んでみないと分からないのである。無駄な買い物をする前に、パパっと読んでしまうに限る。

 そこで「役立つクソ読書」の出番である。書店や図書館、どこでもいいけれど実践できることだと思う。やり方としてはとりあえず、全ページに目を通すってこと。
 文章は読まないでいい。新聞のななめ読みの感覚で見出しだけ読んだり、図だけ見てみたり、ページ全体を眺める感じでページをめくっていく。この時点で面白くなさそう……と思ったら、「今回は」ご縁が無かったということで書棚に戻す。「今回は」というのが重要で、今はつまらなかったり理解ができない本でも、未来の自分が棚に戻したその本を読んだ時、全く違う感覚で本を読むことができる可能性は十分にあるからだ。
 目を通して面白そうだなと思ったら、本の丁度中間辺りの面白さはどんなだろうかと少し読んでみて、それでも面白かったら買うか、借りるかする。
 真ん中あたりを読むというのは、僕のアイディアではない。佐藤優さんの「知的野蛮人になるための本棚」や「読書の技法」から得たものだ。

 

 どうするかというと、本の「真ん中」をまず読むのです。(中略)
 なぜ真ん中を読むか。時間が足りずに雑に作って出している本は、真ん中あたりに誤植が多い。

佐藤優『知的野蛮人になるための本棚』p.11

 

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門

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  なぜ真ん中くらいのページを開くのかといえば、本の構成として、初めの部分は「つかみ」と言って、どのように読者を引き込むかという工夫を著者と編集者がしており、最終部の結論は、通常、著者が最も述べたいことを書いているので、読みやすいからだ。(中略)

 真ん中くらいというのは、実はその本の一番弱い部分なのである。あえて、このいちばん弱い部分をつまみ読みすることで、その本の水準を知るのである。
佐藤優『読書の技法』p.60

 ついでに言ってしまえば全ページに目を通すのもいくつかの読書術本をパクった参考にしたものだ。読書術本からは、本を楽に読んでも良いという視点を教えてもらった。苦しい物じゃない。楽に読んで、読みたくなったらじっくり読むのもよし、ノートを取るのもよし。
 役立つクソ読書の立場を読書術で有名な作家名と併せてざっくり表すなら、こんな感じだと思う
 (佐藤優×宇都出雅巳×齋藤孝)-真面目さ役立つクソ読書

 実用的だからといって気楽さを忘れてはいけない。
 本を選ぶ段階で頑張るとかちょっとアホらしい。

3. トイレでする読書―正真正銘のクソ読書

 うんこをしながら本を読む。以上だ。


 汚いと一蹴するべからず。
 あんまり真面目なこと言いたくないんだけれど、理にかなっている(可能性がある)のだ。
 成毛眞さんは場所によって読む本を変える『「超並列」読書術』という手法を実践しており、知識獲得というよりも「視野を広げるための読書」を推奨している。すなわち、外出先ではこの本、ベッドルームではこの本(寝落ちクソ読書と合わせ技ができるかもな)、リビングではこの本、仕事場、作業スペースではこの本という風に割り当てることで、同時に異なる本を何冊も読んでいるとか。

 

  もちろんトイレに本を持っていくこともOKだろう。
 洋式便器の有り難みを読書が趣味になったことによって再認識するばかりである。先人たちが洋式便器を開発したおかげで、うんこをしながらでも本を読むことができるようになったのだ。

 僕がトイレに本を持って行くのはサブカルな内容の本を持ち込むことにしている。ファンタジー用語辞典とかSF用語辞典とか。あとはサブカル論的なものなど。おかげでトイレに入るときは本を読んでなくてもサブカルなことを思い浮かべやすくなった。トイレで成毛式読書を実践したことで身についたのはこんくらいだ。まさにクソ
 (成毛さんの読書術はとても良い考えなのでおすすめです)

終わりに.「読書」のハードル

 小説以外で読書をしていると「えらいね~」とか「頭いいんだね」と言われることがある。
 その度に申し訳なくなる。
 僕は特別頭が良い訳でもないからだ。みんながテレビや映画、ゲームをするのと同じように、楽しみで読書をしている。
 文化庁世論調査ではサンプルの47%の人が「月に一冊も読書をしない」と回答したというデータがある。

平成 25 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h25_chosa_kekka.pdf

 統計上、日本人は全然本を読んでないということになる。年齢別に見たらまた事情が違うんだけどね。

 本を読まない人が大勢いる中で、いつも本を読んでいたら珍しがられるし、読書は勉強という言葉とセットになってついてくるのでそんな風に見られたのかしら、と思った。このセットは分解すべきだと思う
 昔は勉強の手段が少なく、本を読むことがとても重要だったけれど、今は違う。本を読まなくても勉強できる時代だ。一つの手段として読書が有効というだけである。必ずしも勉強のためにやらなくても良くなったのだから、もう堅苦しい印象を取っ払おうぜ。
 僕は本が好きだと自覚しているけど、勉強熱心とは少し違うと思う。なんでも吸収したいという意欲はあるけれど、そもそも自分で勉強熱心です!なんて言えたものではない。
 本の内容なんて2回や3回読んだってそんなに覚えられない。だから最初から"頑張って"読書しようとか思ってない。熟読?精読?ああ、たまにね、たまにやるよ……という感じ。月に5冊くらい……いや、もっと少ないかも。そんなもんです

 自分なりにいえば勉強熱心に、というより夢中で読んでいるという感じ。この知識を絶対獲得してやる!というよりも、「へぇ、そうなんだ~~~!」とか「でもこれってやっぱり違うんじゃないの?」とかそういうのが楽しい。

 質の悪い読書なんてその人自身が決めることだと僕は思う。
 「役に立たないと読書をする意味が無い」という意見は、個人的に少し悲しい。
 この記事を読み、クソでもなんでも良いので、読書が楽しい!と思える人が少しでも多くなれば嬉しく思う。

 

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