点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

涙のインポテンツ

EDよりも「インポテンツ」という響きが好きだ。

インポテンツはドイツ語であり、「性欲、勃起、性交、射精、極致感のいずれか1つ以上欠けるかもしくは不十分」な状態であると言う。これは性機能障害という括りに相当する。しかし、「インポ」という蔑称が生まれてしまったり、より広義に「満足に性交渉ができない状態」を指す「Erectile Dysfunction(ED)」という言葉が一般的となって、殆ど使われなくなった。これはWikipediaにも下らなすぎて書けなかったことだろうけれど、恐らく偶然「チンポ」に似てしまったことが原因だと思われる。チンチンが立たないという現象に持ってこいであったろうな。

なぜインポテンツの方が好きなのか。それは「チンチンが立たない」と言う紛れもない現実を直視できる気がするからである。

「incorrect(真っ直ぐでない)」や「inactive(活発でない)」、「impossible(不可能である)」など、否定的な意味を表す英単語には、inやimがつく。この特徴は、ラテン語から派生した言語に見られるらしい。Impotenzはまさに、potenz(能力、特に精力)を否定している語である。チンポを否定していると言っても良い。Erectile Dysfunction(勃起性の機能不全)よりも直接的で、心に刺さる感じがする。そうか、俺はチンチン立たないのだと言う現実を突きつけられるのだ。真っ直ぐでない、活発でない、不可能であるという言葉をWeblioで引いちゃってる時点で、メンタルペニスも萎んでいる可能性がある。こういう弱り具合を見つめ直すのにも、「インポ」の方が心が痛む分、良い。

EDはなんだか逃げている感じがする。駄目という訳ではないが、それで自分のできることを後回しにしたり、より悪化させるような生活を送ってしまっていたりしたら、どうしようもないじゃない。劣等感とは、正しく使うことで明日へのエネルギーになる。バランスを見誤ると病んでしまうという大きなリスクがあるが、使いようによる。心を奮い立たせずしてチンチンなんか立つはずが無い。今の僕に必要なのはエロ画像ではない。改善に向けた行動を取るために勇気づけてくれる言葉である。

程よい劣等感を感じるのにふさわしい言葉は、EDというレッテルではなく、インポという烙印なのだ。今日から僕の知り合いは、「インポテンツのAchelou」と、たぶん思うだろう。しかしそれで良いのだ。まずインポなのにこんなに元気であるということを知って頂きたいし、人生には性的快楽以外にも楽しいものがたくさんあるのだ。アルコール、タバコ、麻薬のドラッグはいらない。マインドフルネスなどを行う僧侶のドーパミン量は、凡人のセックスよりも高く出るという。残された方法は瞑想しかない。瞑想を極めよ。

つって、本当にインポテンツから抜け出せなかったら、多分泣くだろうな。