新年の風物詩で忘れられ始めている書き初め。
僕の地元の商店街では、毎年、小学生によって年末に書かれた無邪気極まる書き初めが展示される。通常、書き初めは1月2日に行われるようであるが、本日1月1日に確認できたので、おそらく年末に書かれたものであるから、2019年の「書き納め」であるものを、書き初めとして展示しているものだろう。
というような、大人のひねくれた茶々入れなんぞびくともしない、強靭な初々しさでもって、見るものを和やかな気持ちにさせてくれる。
今年も心揺さぶられる作品を前にして、ああ年が明けたなあという気持ちになった。
個人的に気に入ったものをカメラで撮影した。多くは「新年」「お正月」「お年玉」「初日の出」など、正月と関係することが書かれる。しかし、中には「ほほう、それを書き初めとするか」という作品もある。そのまま載せるのは個人情報的にアレなので、Web書道で書き起こしたものを画像として添付する。なお、念の為、著作権はすべて、書いた小学生本人に帰属するものである。
一念発起
小学六年生の男の子が書いた作品。
おじさんだって一念発起していないのに、その年にして一念発起とは恐れ入る。
一念発起とは、それまでの考えをアップデートし、ゴールにコミットメントしようとすることである。もともとは仏教の用語であるらしく、悟りコミットメントすることを指す言葉であった。どちらの意味であったとしても、「まだ遊んだら?」とうっかり声をかけそうになるけれど、大人の役目は、決意した子どもに対して、緩やかな応援をしてあげることである。
若くして一念発起した子どもに、余計な茶々入れは不要なのだ。
獣医
小学三年生の女の子の作品。正しくは「獣医🐾」であったが、Web書道には犬の足跡に対応していなかったのだ。書の多様性に対応して頂きたいところであるが、Web書道はほとんどサポート終了しているので、おそらく見込めない。
先程の6年生の子よりも、より具体的な一念発起をしている点において、周囲のサポートが受けやすいだろう。荒んだ現代人の心を癒やすペットの健康管理から、豚・鳥インフルエンザ、野犬増加による狂犬病などの感染症対策に至るまで、必要とされている人材だ。2020年からしばらく、この子は獣医イヤーである。毎年「獣医🐾」を忘れず、己の道を突き進んでほしい。幸多からんことを。
三色
小学2年生の女の子の作品。
一体、何が三色であったのか、とても気になる。
なぜ彼女は三色を書き初めにしたためたのか。3色がセットになっているものを想像してみた。信号機、トリコロール、三色ボールペン、ポケモン赤緑青、幼稚園児が描くパパの配色……。どれもピンとこない。「正月 三色」と検索しても、一番可能性のありそうなもので、蒲鉾 紅・三色 伊達巻セット 正月セットであった。
はっ……いやまて……。すべての色は、三原色によって作られる。その3色なのか……?つまりこの二文字で、この世のすべての色を、白と黒の2色しか使えない、制約だらけの世界で表しているのではないか……。これはものすごい意欲作だ。書き初めを飛び越え、もはや現代アートの領域。う~む。正月との関連性はさておき、さすがである。
ゾロア
ぶんるい:わるぎつねポケモン
タイプ:あく
たかさ:0.7m
おもさ:12.5kg
とくせい:イリュージョン
あいてそっくりに ばけているようにみせかけ だましたり おどろかしてそのすきに にげだすことが おおい。 (『ポケモン X』より)
小学二年生の男の子のこの作品が、一番心に残ったのである。こうでなくっちゃね!
ちなみにおじさんはノコッチが一番すき!
2020年もいい年になりますように。