点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

書籍-文芸

実は邪神と戦っていた名探偵――『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』

シャーロック・ホームズとシャドウェルの影 (ハヤカワ文庫FT FTラ 5-1) 作者:ジェイムズ ラヴグローヴ 早川書房 Amazon 「シャーロック・ホームズ×クトゥルー神話」というまさかのマッシュアップ作品。 僕はホームズはほぼ読んだこと無い。 『緋色の研究』と…

※ネタバレ有り タラレバファンタジーに元気づけられた話――『ミッドナイト・ライブラリー』

現在、おおよそ人生の最底辺付近にいる。 付近とわざわざ付け加えているのは、最底辺は通過したと思えるからだ。うつを発症し、何もできずにただ希死念慮を頭の中で反芻する粗大ごみ以下の存在としてベッドの上に突っ伏していた2019年の2月より、今は遥かに…

解釈違いを恐れずに──『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』

(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法 作者:三宅香帆 発売日: 2020/10/02 メディア: Kindle版 小説を楽しく読めるようになる本 白状する。書評を読んで、その本を「面白そう」と思うことが、あんまり無い。 大体は「こ…

「書けない」という話ならいくらでも書ける

継続的なブログの更新が止まっている状態から元に戻すとき、ブロガーはあらゆる「言い訳」をする。残念ながら、どんなにもっともらしい理由をつけたとしても、あらゆる言い訳は「書きたくなかった」という一つの真理に収斂していく。 このブログも、5月上旬…

『文学入門』──優れた文学には発見がある

文学入門 (岩波新書 青版) 作者: 桑原武夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1950/05/05 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 18回 この商品を含むブログ (16件) を見る 文学に弱いので読んでみた。目次を読んでみると、第2章は「優れた文学とはどういうも…

『働きながら書く人の文章教室』/小関智弘

働きながら書く人の文章教室 (岩波新書) 作者: 小関智弘 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2004/10/20 メディア: 新書 クリック: 1回 この商品を含むブログ (9件) を見る ブログのネタが無い、ネタが無いと嘆くブロガーは、一度周囲をよく見渡したら良い。…

『コーヒー哲学序説』から好きなものを語るときのテクニックを学ぶ

もしも自分が好きなものを発表するとして、それが世間からあまり良く思われていなかったり、あるいは、自分から推したりするのに引け目を感じるならば、寺田寅彦の『コーヒー哲学序説』を読んでみるといいかもしれない。 コーヒー哲学序説 作者: 寺田寅彦 発…

太宰治『お伽草子』──婆汁なんてのは、ひどい。

読書が好きです、といいながら、ここ一年ろくに小説を読んでいませんでした。 こりゃいかん、と思ってAmazonで手頃なのは無いか?と探していると、『太宰治全集』というものがありました。Kindleで。衝撃の200円。随分と安い。ブックオフで太宰治の作品を全…

『新釈 走れメロス 他四篇』──プレゼントしたい森見登美彦

今週のお題「プレゼントしたい本」 新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1) 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2009/10/15 メディア: 文庫 購入: 54人 クリック: 366回 この商品を含むブログ (162件) を見る 大学1年生の頃、社会学部…

ことわざの一部を犬にすると世界はこんなにも可愛い──『犬声人語』について

朝日新聞のコラムに『天声人語』がある。 この天声人語を可愛らしくもじった『犬声人語(けんせいじんご)』という本を購入した。今回はこの本のレビューです。天声人語について語る記事ではございません。 犬声人語 作者: 石黒謙吾,雲がうまれる 出版社/メ…