点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

読後レビュー 『世界史の読み方』

世界史の読み方 (角川選書)

世界史の読み方 (角川選書)

 

「小さな世界史」と「大きな世界史」というステージで捉えて単純化……というのがウリの本書ですが、その恩恵をあまり受けない感じがありました。

 

世界史を一通りさらえるので、家に一冊も世界史関連の軽い読み物がない場合は買ってもいいかもしれないけれど、こういう「概説」というのは、どんなに頑張っても教科書的にしか歴史を羅列することができないのかしら、ということを感じた次第。マクニールの世界史の方が、読んでいて面白かったし、世界史の流れを理解できると思ってしまいました。

 

しかし、どの歴史解説本にも載っていることですけれど、大きく捉える→細部を見るというプロセスは、歴史、というよりも何かを勉強することにとって重要なのだなと感じました。教科書を端折った書き方になってしまった本書であったとしても、「おおまかな流れを掴む」という役割は果たせている気がします。

 

真新しいものではないですが、世界史理解の王道を踏襲していると思われますので、読んで損ではないかと。それと、世界史へのハードルを低くするために、このような工夫がされています。

劇場型の歴史は登場人物が多いことに特色があるが、短期間で学ぶのは無理なので、極力登場人物は少なくすることにした。世界史の道筋がわかったあとで、登場人物の数を増やしても決して遅くはないからだ。

ということで、たしかに最低限度になっているかなと思います。受験ではなく、教養というか、ざっくりとした知識をとりあえず仕入れたい、世界史に馴染みたいという人は、最初の一冊にしてもいいんじゃないかな。Amazonの評価、カスタマーレビュー1件で☆2になっているのは、ちょっと厳しすぎないかな~とかは思っています。

 

買うのが怖かったら、図書館から借りるのでもよし。僕もこれ借りたし。マクニールの世界史が家にあるのと、世界史の図説もあるから、正直それを持っていればそっちで勉強できるからなあと思いまして。

 

まあ、結局歴史も、好きに読んだら良いんですよ。香港のデモだって、今僕たちが生きているから知っているし、リアルに感じることができるわけで、あと50年もしたら、歴史の教科書の片隅に書かれる程度のものになっていたりする可能性だってあるわけですからね。教科書編纂者の主観に左右されたくないのであれば、いろんな歴史書を読み漁るほか無いので、この1冊で決めよう!と思わな方がいいかもしれません。