点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

点の漫喫日誌2020-07-04『ドロヘドロ(10~23巻)』『HUNTER×HUNTER(1~5巻)』

ギャグ漫画が中心の漫画ライフだったけど、もう少し幅を広げたいと思い立って、漫画喫茶で雑多に読み始めていた。だいたいコロナ禍で漫喫が閉鎖されるちょっと前あたりからね。

で、気が向いた時に、今回のように漫喫日誌を書こうと思っている。

タイトルの数字は日付、『作品名(○~○巻)』というのは、その日、この作品を何巻分読んだよということだ。

ドロヘドロ(1) (IKKI COMIX)

ドロヘドロ(1) (IKKI COMIX)

 

ドロヘドロ体験はNetflixのアニメ版。

僕はグロテスクなのがダメなのだけど、そんな事を忘れて食い入るように毎週視聴し、アニメ放映終了後から、ぼちぼちと漫画喫茶で読み始めていた。コロナ禍によって漫喫が封印され、漫画よりも一般書籍に金を費やしていたので購入することもできず、漫喫が開放されてから、再び読み始めることができた。

主人公のカイマンは記憶喪失。更に頭部を爬虫類にされ、口の中には謎の男が存在しているという謎の設定盛り盛りキャラクターだ。気がついたときには人間界の「ホール」と呼ばれる街にいた。ホールには「魔法使い」たちが、人間相手に魔法の練習をしにやってくる。自分は魔法使いに何かされたに違いない。そこで、ホールで知り合った友人、ニカイドウと日夜魔法使い狩りを行う。カイマンの正体を突き止め、記憶と人間の頭を取り戻すために……というのがあらすじ。

多くの人が認めるところだと思うんだけど、その作品がいい漫画かどうかというのは、というか良いフィクションかどうかというのは、「没頭できるか?」が大前提かつ重要な要素であると思う。ドロヘドロは1巻から23巻まで、マジで全く飽きず、没頭しっぱなしだった。

キャラクターや世界観設定がここまで何でもアリなのに、大筋はとても纏まっていて、大きな混乱なく読めると思う。

魔法の種類は魔法使いが出てくる度に増えるし、その能力は「対象をキノコに変える」、「どんな怪我でも治す」、「生きたままバラバラにする」、「人体の肉片から動く人形を作る」など、マジで何でもアリ。しかし、バトル漫画にあるような、能力インフレめいたものは緩やかで、不思議と「おいおい笑」みたいな展開に、ギリギリならない熱のもたせ方というのがとても良いと感じた。

あと、結構人がバンバン死んでいく。人間界でも魔法使いの世界でも、(魔法のせいで)死が軽く描写されているのだけれど、最終回目前では、その人の死と深く関わる部分が、カイマンの謎に大きく関連し、なおかつキャラクター達に牙を剥いてくるのも個人的にはすげえと思うんですね。

そして、何でもアリな世界にあってもなお、読者が没頭でき、疎外感を感じないのはなぜなのかというと、絶望的な世界でも個性豊かに生きるキャラクターの役割が大きいと思う。特に好きなキャラクターはカスカベ博士とジョンソン。それと藤田と恵比寿のコンビ。共通点は、カワイイということ。ショッキングー!

僕は「終了していない作品は読まない」ということをポリシーにしていた。余計なストレスを感じたくないというのが理由だったのだけど、ちょっと前に『鬼滅の刃』を読んで非常に面白いと感じてしまってから、そのルールを外した。

すると、必修科目の多くは未完の作品であることに気がつく。おそらく、未完の作品の中で、一番続編を望まれているのは、『HUNTER×HUNTER』だろう。Twitter平沢進ファンの友人から、「読めばあの連載スタイルで許されている理由が分かる」という言葉を貰ってから、頭から離れなかった。ということで、ドロヘドロの余韻に浸ったあとに読んでみた。

連載開始が1998年で同期としては『ONE PIECE』や『遊☆戯☆王』などの作品がある。話のテンポが非常に早い。そう言えばこの時代のジャンプ漫画って、こんな感じだったよなという「時代」的なものを感じながら読み進めていった。

5巻までの読み終えての感想は、論理派キャラ VS 直感キャラの対立が非常に面白かった。直感派キャラでは特に、主人公ゴンと、敵キャラクターのヒソカのヤバさみたいなのが、僅か5巻を読んだだけで、僕の中に強固な印象が作られた。

ゴンは『ONE PIECE』のルフィ的な初心さが最初はめっちゃあるし、話の流れもちょっと似ている。家族と過ごす道よりもハンターとして生きる親父を探すために、広い世界に飛び込んでいく。けれど、ハンター試験がはじまって暫く経つと、どこかしら、だんだん狂っていってる感じがちょっと怖い。謎掛け的な試練で見せる、無垢ゆえの新しい視点による突破のシーンからも匂うけど、バトルシーンにおいて特に感じる。これからどうなることやら。

論理派キャラでは、トンパのこびりつく感じ、あれは何なのだろう。よく考えれば考えるほど面白いキャラだ。ハンター試験の参加者が絶望している表情を見るのが好きという理由で、自分が死なない程度のところまで行って脱落するのを娯楽として楽しんでいるというサイコな感じもそうだけど、姑息ではあるがキレものなのも確か。「多数決という場面での悪手」を語っているときのシーンは、なるほど~~~と読んでしまった。コマ割りの強烈さもあいまって、個人的に記憶に残る名シーンだ。

これは余談だが、ネットで有名な「HUNTER×HUNTERネタ」の元ネタが複数登場してきて、なんだか嬉しく感じた。そして、猛烈に経年劣化した単行本からはすえた匂いがしており、これも強烈な体験であった。

次回は『H☓H』の続きと、読んでくれと言われた『うしおととら』を読む予定です。