点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

寝ることについて

寝るとスッキリして体調が戻る。当たり前のことだ。しかし我々現代日本人は眠りを疎かにしがちだ。日本人は世界で最も眠らないとされている。1ヶ月前のニュース記事にこんなのがある。

日本人の平均睡眠時間は「世界最短」 ショートスリーパーの割合も最多に - ITmedia ビジネスオンライン

調査によると、日本は20年の平均睡眠時間が世界で最も短く、6時間22分19秒だった。年間で毎日の平均睡眠時間が6時間を下回ったユーザーの割合は32.13%で、「ショートスリーパー」の割合も最多となっている。一方、睡眠時間の長さがトップ3となった国はいずれも西ヨーロッパの国で、1位にベルギー、英国、フランスと続いた。 (閲覧日:2021年6月1日)

やべーって感じ。睡眠時間を削って働いている人たちには、是非とももっと寝て頂きたい。

ただこの2020年の調査結果は、「ヘルスケアデバイスを手掛けるフランスの企業Withings(ウィジングズ)が、日本を含めた14カ国の睡眠データを発表したもの」であることには留意したい。つまり、健康に関心があり、Withings社の製品を購入し、睡眠ログをつけている人間のデータしか集まっていない。

記事やWithingsのホームページにも、年齢別や労働人口か否かの調査結果が掲載されていない。デジタルデバイスを操作できない人の割合が高い高齢者層や、非労働人口労働人口の比較などのデータがあれば、もう少し違った実態が浮かび上がるかもしれない。

ちなみに、現代人ほど睡眠時間が短いということが分かる資料として、もう少し説得力のある資料がある。平成26年度の厚生労働省の資料。これによれば、2011年の段階で、15歳以上の平均睡眠は7時間39分(459分)、労働人口では7時間25分(445分)である。1976年と比べると、それぞれ約30分程度少ない。長期的に見て減少傾向であることが分かる。(参考:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-2-3-21.html

僕はどうなのかと言うと、ここ1〜2週間ほどでめっちゃ寝るようになった。

うつ状態になったら寝るし、趣味が何も楽しくないと思ったら寝るし、身体がだるかったら寝るし、全てが嫌になったら寝るし、夜も普通に寝る。体感として、布団に寝っ転がっている時間が起きている時間よりも多い気がする。平均睡眠時間は間違いなく8時間は超える。不眠でしんどい思いをしていた頃から考えると信じられない。病気が原因で過眠気味になっちゃった可能性もあるけど。

よく寝るようになってよかったことは、起きている間調子が良い状態が結構続くということだ。趣味を楽しめる心持ちになったり、注意力散漫気味であったのが、集中が持続するようになったり、希死念慮が減少したり、ネガティブな思考が下痢のように湧いてくる状態になってしまうことが少なくなった。

時間を有効に使えないことが唯一の欠点であるが、眠りによって獲得できる効能の多さに比べると路端の砂利程度に小さな問題である。人生は睡眠によって支えられていると表現したい。大げさではないはずだ。

養老孟司氏がよく「身体に訊く」ということを言う。これを僕は、「自分の体の状態に意識を向け、自覚的になること」であると解釈している。身体に訊くようにしてから、自分は普段何もしなくてもかなり疲れていることに気がついた。

それから、どんなに楽しいことが待っていると想像しても、身体がついていかない場合は、それをしないようにしようと決めてから、寝る頻度が多くなった。

「今どんな感じ?何がしたい?」と自問するときに、自分の思考だけで判断せずに、身体に訊いてみるといろんなことが分かる。肩が重いとか、頭が痛いとか、腰が疲れているとか、足がむずむずするとか、胸がムカムカする、胃がキリキリする、目がしょぼしょぼするなど。老化かもだが、どうにも気になってしまう場合は、寝る。

どうにも身体が重い場合には、これは疲れているのだと思って臆せず眠ると、起きた時すこぶる調子が良い。眠りすぎて頭が痛いなどは今の所無いから、自分なりに良質な睡眠が取れているのだと思う。

幸いな事に、現在は眠る時間がたんまりある生活をしているので、今のうちに寝まくることにする。

現役世代の我々の中には、満足に睡眠を得られないと自覚している層が、2014年の段階で3割を超えている。(参考:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-2-3-23.html)睡眠時間の減少傾向を鑑みるに、おそらくこの割合も減っていないだろう。

仕事も趣味も大事だが、多分睡眠の方が大事だ。勇気を出して寝てほしい。

<おまけ>

睡眠に関しては櫻井武氏の書籍を推している。