点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

『鑑定士と顔のない依頼人』について

『鑑定士と顔の無い依頼人

人に薦めたくなる作品ではありません。でも、一度はこういう映画を見ておいてもいいんない?損じゃないと思うよ?と言いたくなるような作品ではあります。お前の主張は矛盾しているじゃないか、一体どういうことだ。つまり後味の悪い映画というのは、じわじわと遅効性の毒のようなものを視聴者に植え付けるもんだと思いまして、こいつを少しでも発散したいのと、この映画のゲンナリ感について共有できる仲間を増やしたいという思いがあります。この記事はそんな矛盾で塗り固められた自己中心的なものであります。

あらすじ

主人公は孤独な壮年の鑑定士であるバージル。彼は鑑定士として成功をおさめ、その審美眼で美術品の競売人として活躍する毎日を送っていました。女性と接することが苦手なくせに、自宅のセキュリティルームの秘蔵コレクションには、女性が描かれたものばかりという変わった癖を持つ人物です。自身が開催するオークションで、価値ある美術品を安く競売にかけ、友人のビリーと共謀して不正に絵画を入手していました。

そんな彼に電話で依頼が入ります。クレアと名乗る女性からの電話で、両親が屋敷に残した美術品を鑑定してもらいたいとのこと。しかしクレアは待ち合わせをすっぽかしたり、事故にあって会う機会が伸びたりと、なかなか姿を見せません。しばらく屋敷に通うと、彼女が屋敷に閉じこもっている広場恐怖症であることがわかります。彼女は屋敷の部屋の奥にある隠し部屋に閉じこもっていたのです。

最初は顔の見えない依頼人の不安定で横柄な態度にイライラしていたバージルでしたが、次第に彼女に対して好奇心が芽生え始めます。広場恐怖症であることにも同情したのか、どんどん彼女に心を開くように。次第に彼女に、好奇心以外の感情を持った彼は、クレアの謎めいた存在感に翻弄されていくのです……。

 

鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人

 

 

自分の殻に篭もることへの怖さ

孤独な壮年の鑑定士バージル役はジェフリー・ラッシュ。ほぼすべてのシーンで彼が映されています。最初はいけ好かない横柄な老人であるという印象しか持てないのに、世界観に引き込まれれば引き込まれるほど、なかなかどうして感情移入できてくるから不思議です。なぜ、自分は主人公に感情移入できたのかなと考えると、特定の価値観に染まって、それで痛い目を見たからなのかなと思うわけです。

ここから少しネタバレ風味で感想を。申し訳ない、個人的に面白いなと思った部分を語るには、どうしても主人公がどうなってしまうのかについて軽く触れなければなりませんでした。

教訓めいた話はなるだけしたくは無かったんですが、自分の世界観や価値観に染まって、他の重要なことになかなか気が付かず、それゆえに主人公のバージルは大変な目に合うわけです。私はまだいわゆる意識高い系だったころ、一つの価値観に凝り固まっていたせいで、なんかもう色々失敗しました。そのせいで引っ越しを余儀なくされ、人を振り回し、お金も職も失ったわけですが、全て自分の未熟さによるもの、自己責任と受け入れて今は心の整理もついています。若い頃に経験できて良かったですが、バージルのような壮年男性になってから、あのようなことになったらもう立ち直れるかどうか。

バージルは未熟な大人ではないと見せかけて、女性との付き合いという点、人のアドバイスに耳を傾けようという点、人の気持を理解しようとする点において、未熟だったのかもしれません。因果応報という風に考えることもできますが、しかし、それにしても可哀想だなと同情してやりたくなるような破滅っぷり。同じような人が周囲にいたら、もうなんと声をかけてやったらいいか分からないです。ただその破滅っぷりでさえ、なんだか妙に色っぽい……なんて知ったような評価をしてみたくなるほどに、謎の魅力を感じたのです。メシウマなんて言ってられないくらい気の毒なんだけどね。ジェフリー・ラッシュ恐るべし、彼の演技力によってこの映画の評価はグッと上がっていると思う。

モヤモヤした気分になること間違い無しのおすすめ映画です。

 

La Migliore offerta (The Best Offer)

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 とにかくスタッフが豪華だから詳細はWikiみてください(Wikiはおもいっくそネタバレあらすじだから注意してください。)

鑑定士と顔のない依頼人 - Wikipedia

 

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洋服について

洋服との格闘

つい最近まで洋服屋に入れない小心者でありました。何故かと言うと自意識過剰と被害妄想の塊のような人間だったからです。自分はファッションセンスのかけらもなく、そんな人間が服屋なんぞに来て申し訳ない、という謎の罪悪感を感じていました。更に、洋服を選ぼうとする最中に面倒くさくなってきたり、自分に似合う服なんて無いんだ!というねじ曲がった性格による「オレナンカドーセ発作」を併発すると、別にたいして洋服屋にいたわけでも、センスの無い服を購入したわけでもないのに、どうしようもなく疲れるということを繰り返していました。

ひどい時は洋服屋に入った途端、動悸がして足が震え、とにかく汗だくになってしまうのです。そのため、なんとか理由をつけて洋服に行けたとしても、試着しようにも洋服を自分の体液で汚してしまってはなりませんから、試着せずに、逃げるようにして洋服をつかんで購入するというような状況でした。

ネットショッピングにすれば?と言われたことがあるのですが、上記のような理由から洋服を自分の人生において重要なものと認識しないようにしていたので、サイズ感がわからんものを見ないで購入するのは怖いし、太っているので着れるのかも分からないというものに5000円はおろか、500円だって惜しい!という、もはや意地なのかなんなのか分からないレベルで、洋服から遠ざかっていました。

 

おしゃれが苦手でもセンスよく見せる 最強の「服選び」

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評価軸は「清潔感」だけしか信じられない

そんな話を色んな人にしていたら、十人十色のありがたーいアドバイスが帰ってきました。「気にしすぎ」「洋服は日用品だから文房具と同じ感覚で買えばいい」「冒険はしないでもいい」「他人の評価なんて気にするな!」「顔よりも体型」「痩せろ」「痩せろ」など色々言われましたが、どんなアドバイスを頂いたとしても、必ず言われる言葉がありました。それが「清潔感」です。最低限の「清潔さ」があれば、とりあえず「服装に気を使っている」という風にみなせる、という意見が多かったのです。

似合っているかいないかというのは、見る人によって印象が違います。だから服装に全く興味のなかった自分からすると、正直言って自分に似合った服装なんて分かりません。かといって、自分が着たい服を選んで「ダサい」と言われるのはいい気持ちではありません。だから服はなるべく選びたくない世の中になればいい、この世の中のフォーマルな服装が全部ジャージになればいいのに……洋服なんて着ていれば犯罪じゃないんだし、それでいいじゃないか!なんて思っていたのですが、「清潔感」というワードを出されるとそうも言ってられません。

自分のことはキレイな見た目をしているという風には思っていないので、これ以上汚くなるわけには参りません。というわけで、洋服屋に行く理由ができた私は、何度かの訓練の末、洋服屋恐怖症を克服したのであります。今では百貨店とか、ああいうこう、なんか高そうな場所にズカズカ入って店員に話しかけられても少し嫌だな……程度に思うくらいになりました。昔はテンパって「あっ……だいじょ、ぶです……」みたいになっていたので大きな進歩です。後は懐具合を潤して購入するのみですね!

 

服を買うなら、捨てなさい

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自分で不細工を自称するなら清潔感しか気にしないでいい

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僕自身が不細工なので、服装について訴えたいことがあります。上のような記事に多く反響がある時点で、見た目で重要視されるのは顔なんだよなって思うわけです。見た目というのはそういうものという認識に改めましょう。認めたとしても、自分の人格が損なわれるわけではありません。どうしても見た目が気になるという場合、顔が良くなければもう必要最低限のラインをなんとか死守するしかない。おしゃれに気を使っているけれど顔に自身はない……という方々にとっては癪に障る主張だろうけれど、ここはもう色んな邪念、執着を捨てねばなりません。清潔感以外の評価軸を捨てましょう。

自分のことを不細工だと自称するのであれは、デザインや色味などは考慮に入れなくてもいいんじゃないかな。無難な服装をしつつ、最後の砦である「清潔感」を死守する。我々不細工にとって、自分の見た目で気にするべきことは「清潔感」オンリーです。こう考えるといろいろ楽なんじゃないか。

それが嫌なら自分のことを不細工だなんて評価をせず、堂々と自分のおしゃれを確立していって欲しいです。周囲の評価なんて何の関係があるのだ!と無視し続け、自分のやりたいようにおしゃれをしてください。それができないなら、最低限の無難な服装を選んで、眉毛ボーボーだったり鼻毛が出ていたり髭がもじゃもじゃだったり、汗かきなのに汗かきっぱなしだったり服に変なシミがついていたり、そういうことが無いようにしてみるだけで、周囲からの服装に対する評価も変わるだろうし、自分にとっての洋服というハードルは、なんとか下がるかと思います。

そして洋服ダンスの中身の服が全部ヨレヨレで5年以上来てる服とかあることに気がついたとき、このままじゃやばいと思えるはずです。すぐにすべての服を新品にとっかえるのは難しいとしても、1~3番目くらいに古い洋服はとっとと捨てたほうがいいのかもしれません。

自分のことを棚に上げて色々言ってまいりました。僕自身、未だ義務感からでしか洋服屋に行けないようなヤツですが、いつかは何の気なしに洋服を買えるような人物になりたいと、そう思うわけであります。

 

最速でおしゃれに見せる方法

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ゲームキューブについて

PS2の影に隠れた名ハード

2001年11月18日、15年前の今日。日本に先駆けて北米で発売されたゲームキューブは、PS2の猛威を払拭することができず、Nintendo 64から続く任天堂の不調を継承するように、売上的にはうまく行かなかったゲーム機として記録に残ってしまいました。他の任天堂ハードと比べてどれほど売れなかったのかを知る良いデータがあります。『星のカービィ』を生み出した桜井政博氏がディレクターとして世に出した、人気ゲームシリーズ『大乱闘スマッシュブラザーズ(以下:スマブラ)』という作品はご存知でしょう。このスマブラNintendo 64ゲームキューブWii3DSWii Uでそれぞれ発売されています。Wikipediaのデータにはなりますが、このスマブラの売上をまとめた表がありますので引用させて頂きました。

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Wii U版が著しく売上が下がってしまっていますが、これは3DS版と殆ど同内容であるといういささか特殊な理由があるためでしょう。むしろ3DS版に追加要素を足した内容でありながら約73万本よく売ったな~。ということで3DS版+Wii U版で換算すると、スマブラfor~は約326万本です。このように考えると、ゲームキューブで発売されたスマブラDXが、スマブラシリーズで一番売れなかった作品となるのです。

これだけではゲームキューブが売れなかった根拠として薄いですが、なんとこのスマブラDXゲームキューブで一番セールスを上げたソフトなのです。

このソフトの初週推定販売本数が約35万本に対して、発売以前のゲームキューブの推定販売台数は約30万台であった。最終的な売上本数は推定約151万本であり、ゲームキューブ専用ソフトとしては最大かつ唯一のミリオンヒットとなった。
引用元:大乱闘スマッシュブラザーズDX - Wikipedia

 

NINTENDO GAMECUBE本体 バイオレット

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ゲームキューブスマブラDX

スマブラ発売前のゲームキューブ推定販売台数が、スマブラの初週推定販売本数を上回るというのはどういうことか?それまでゲームキューブを買っていた人よりも、スマブラをやるがためにゲームキューブを買う人のほうが多かったということです。多くの人のイメージが「ゲームキューブスマブラDX」という印象を持っていると思います。僕もゲームキューブのソフトで一番やったものは何?と聞かれれば、やっぱりスマブラDXです。自分でも持ってましたし、友達の家にもありました。Wi-Fiの普及以前の対戦格闘ゲームですから、自分の家で練習して友達と腕を競い合うという昔ながらのゲームを通じたコミュニケーションで仲良くなった友達もいました。

記録の上では負けハードかもしれませんが、僕の小学校~中学校時代を支えてくれたソフトです。紛れもない名作だと信じておりますが、面白すぎて他のゲームソフトに目移りすることがそれほど無かったのではないでしょうか。eスポーツ(デジタルゲームをスポーツとして認識しなおし、スコアや対戦で腕前を競う取り組み)の世界では、競技種目の一つとして採用され、一部の界隈では未だにホットなソフトであることも考えると、他のゲームキューブソフトが売れなかったのも無理は無いでしょう。

大乱闘スマッシュブラザーズDX

大乱闘スマッシュブラザーズDX

 

売れたソフトが名作ではない

確かにスマブラゲームキューブでとても売れたソフトです。記憶にも残ってます。今現在でもプレイヤー人口は少なからずいて、インターネットメディアに取り上げられることもありますから、もう紛うことなき名作でしょう。スマブラシリーズで一番売れなかった作品でありつつ、次世代ハードでのスマブラの方向性を形作った功績もあります。マーケティングや経営などの視点から見ればゲームは売れなければなりませんが、売れたソフト=名作ではありません。ベストセラー=名著でないのと同じです。ゲームキューブには多くの名作があります。『ルイージマンション(約60万4000本)』『スーパーマリオサンシャイン(約87万本)』『ピクミン(約56万本)』『ゼルダの伝説 風のタクト(約74万本)』『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセスGC版はネット専売のため不調だったが、全ゼルダシリーズトップセールス)』『ギフトピア(データ見つからず……)』『どうぶつの森+(約99万本)』『ファンタシースターオンライン エピソード1&2 Plus (データ見つからず……)』『バテン・カイトス(約12.5万本)』『カービィのエアライド(約45万本)』などなど……個人的な名作を挙げたらきりがありません。

みんながやっているから、何やら売れているみたいだから……そうした動機でゲームを買うのもありです。否定するつもりはありません。ただあなたにとっての名作は、本流から逸れた影にひそんでいるかもしれません。インターネット、SNS、ゲーム情報サイト、情報雑誌、動画サイトを見て、読んで、聞いて、ビビッときたら買ってみる。『バテン・カイトス』なんかはその類でしたが出会ってよかったと心底思います。一目惚れするゲームがあったら、それはあなたにとっての名作の予感。ぜひとも数字に踊らされず、自分の価値観に合致したゲームと出会えますことを祈っております。そしてゲームキューブは、それを教えてくれる良いハードだったなと、これまた心底思うわけであります。

 

スーパーマリオサンシャイン

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カービィのエアライド

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ニンテンドーゲームキューブ専用コントローラ バイオレット

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ピクミン

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ルイージマンション

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