点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

睡眠不足になりながら睡眠について知る虚しさ──『睡眠の科学』

翌日に予定があると、前日に眠れないという生活がここ最近続いておりました。

昨日は本日の通院という予定が影響していたみたいで、6時くらいにようやく眠れまして(寝れただけよかった)、そんな不安定な状態でPC開いちゃってブログ書き始めちゃって、もうだめでしたね。おかげで昨日のエントリーはアレな内容になってしまいました。戒めとして残しておきます。

さて、睡眠不足な日々をどのように過ごしているのかというと、認知科学系の本を読んでおります。

今の自分の精神状態って、一体なんだろうね~ということを知りたいという知的好奇心と、そうした知識を仕入れることで、早くなんとかしたいという心がどうしても働いてしまって、眠れずに認知についての知識を仕入れるという虚しい状態になっています。今日はちゃんと寝ようと思います。

そんな中、図書館で『睡眠の科学』という本を借りたところ、これが面白かったんですわ。

「このように眠れば良い睡眠ができる!」とか「○○大学式最強の睡眠」とかいう実用書が睡眠本界隈にはびこっておりますけれども、こちらは睡眠そのものを平易に説明した本です。

サブタイトルにもある通り、「なぜ眠るのか」「なぜ目覚めるのか」ということについて、つまり「睡眠」と「覚醒」という生理現象に絞って書かれています。著者はオレキシンという覚醒に関連する脳内伝達物質を発見した医学博士の櫻井武さん。

さて、皆さん。人はなぜ眠るのだと思いますか?

この問は、睡眠学者にとって究極の問であります。

現在も「なぜ眠るのか」ということは、脳神経科学や認知科学の領域では、謎です。

かつて著名な睡眠研究者であるデメントは「なぜ眠るのか?」との問いに、「私が知る限りでは、はっきりしているのはただ1つ、眠くなるから眠るのだ」と答えたそうである。長年にわたり睡眠を洞察してきた彼ですんらこう答えなくてはならなかったということだ。(P.226)

そ、そんな~~~!!それじゃあ面白くない。眠らずに睡眠について知ろうとした僕の時間を返して欲しい、とは言わないまでも、なんだか納得がいかない。そこで本書では、著者の仮説が最終章として載っておりまして、これが興味深いのですが、それをここで書いたらみんな読まないと思うので、各自読んでみてください。

一応、「なぜ眠る必要があるのか」ということで分かっていることだけ書くならば、睡眠を取らないと、「視床下部」という、自律神経の統合を行う大事な部分に異常が起きてしまうということです。1964年に高校生のランディ君が、自由研究で不眠に挑戦しました。先程登場したデメント博士の監察下で、11日間眠らなかったそうですが……

断眠2日目になると彼は怒りっぽくなり、体調不良も訴え、記憶に障害が見られるようになってきた。(略)7日目には彼は震えを呈し、言語障害が認められた。 

 その他、ピーター・トリップというDJは、1959年に9日間に渡って眠らずにラジオ放送を行ったらしいのですが、最後は妄想や幻覚をきたし、一種の精神疾患状態になってしまったというのです。

この視床下部による恒常性維持機能のメンテナンスのために、睡眠は欠かせないということが言われています。

また、ラットを使った実験では、完全に断眠状態を続けたラットは、免疫系統に異常をきたし、毛が抜け、皮膚に潰瘍ができ、感染症を引き起こして死に至るという生体実験の結果もあります。先程ちらりと書いた恒常性維持機能というのは、ホメオスタシスといって、外的な要因によって内的な生体システムが影響を及ぼさないように、生物が生命を維持するために、一定の状態を保とうとする働きのことですが、ここに異常が出てくるというわけです。

こわ。

すると、そのメンテナンスの構造や過程の詳細を知ることが今後の課題となるわけですが、残念ながら、これだけ医学が進歩しても、毎日行われている睡眠の根本的な部分は解明できていないのです。

そんな不思議を抱えながら眠れるはずもなく、僕は今朝6時に気を失うまで、「はよメンテナンスせんかい」と念じながら過ごしたわけであります。

みんな、ちゃんと寝ようね!まじで!!

同じ著者の睡眠実用書があったので、今日はこれを読むか……。