点の記録

点を線で結べない男の雑記帳

書籍

無くし魔の考察

財布を無くす 財布を無くした。これで人生3度目である。1度目は高校生、2度目は1回目の大学4年生、そして3回目は昨日の出来事である。 キャッシュカード、定期券、保険証、現金6000円が入った、黒の長財布だった。ズボンの尻ポケットの中に入れていた。マイ…

合理的な学習方法なんて無いよね──『知的生産の技術』を読んで

知的生産の技術 (岩波新書) 作者:梅棹 忠夫 発売日: 1969/07/21 メディア: 新書 岩波新書『知的生産の技術』を久しぶりに読んでいたら、良いこと書いてあるなと思った部分があった。 これはひとつの問題提起なのである。 (中略) どのようなものであれ、知的…

『無気力の心理学』を読んで気がついたこと

無気力の心理学 改版-やりがいの条件 (中公新書) 作者:波多野 誼余夫,稲垣 佳世子 発売日: 2020/01/17 メディア: 新書 『無気力の心理学』は80年代に中公新書レーベルから出た本で、モチベーションの科学の基礎を、平易な文章でざっくり学ぶことができる。「…

無手勝流の哲学入門

ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を、キルケゴールの『死に至る病』を注釈として読むという化学反応を楽しんでいた人がいた。名を木田元と言う。 わたしの哲学入門 (講談社学術文庫) 作者:木田 元 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/04/11 メデ…

人権としての教育──教育、学習の権利と義務の構造を知る

人権としての教育 (岩波現代文庫) 作者: 堀尾輝久 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/08/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 権利として、教育はどのように保障されているのか。 僕らは義務教育を受け、当たり前のようにある程度の教育を施…

『文学入門』──優れた文学には発見がある

文学入門 (岩波新書 青版) 作者: 桑原武夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1950/05/05 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 18回 この商品を含むブログ (16件) を見る 文学に弱いので読んでみた。目次を読んでみると、第2章は「優れた文学とはどういうも…

読書好きによる読書必要論

「本は必ずしも読まなくてもいいんじゃないか」という意見を一つ前に書いたから、今度はバランスを取る意味でも、そしてこのブログのメインコンテンツである書籍を扱っている人間としても、「それでも読書をする理由」について書かなければならないと思って…

読書好きによる読書不要論

日本国民の約半数は、一月に一冊も本を読んでいないというデータがある。*1 いわゆる教養人は、こうしたデータを読むと、「もっと読書をするべきだ。さもなくば日本は滅びる」云々と机上の空論(中には妥当なものもあるが)を延々と述べたりする。その根拠は…

文庫-LOGを更新した──『代替医療解剖』と『からだの知恵』を読んで考えたこと

2つの記事を書いた。 bunkolog.hatenablog.com bunkolog.hatenablog.com この2冊は、人間の自然治癒力の力と、その限界を知る上で欠かせない2冊であると思う。 からだの知恵は、生物には現在の状態を安定的に保とうとする働きであるホメオスタシスを提唱した…

『カラダの知恵:細胞たちのコミュニケーション』──細胞のコトバに思いを馳せる

カラダの知恵 - 細胞たちのコミュニケーション (中公新書) 作者: 三村芳和 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/05/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 『はたらく細胞』を読んだことがある人は、すんなり読めると思う。これは『…

『働きながら書く人の文章教室』/小関智弘

働きながら書く人の文章教室 (岩波新書) 作者: 小関智弘 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2004/10/20 メディア: 新書 クリック: 1回 この商品を含むブログ (9件) を見る ブログのネタが無い、ネタが無いと嘆くブロガーは、一度周囲をよく見渡したら良い。…

『1冊読み切る読書術』──読書のハードルを下げてくれる本

1冊読み切る読書術 作者: 齋藤孝 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2019/01/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 久しぶりにこの手の本を読んだ。 目新しいテクニックは無く、著者お得意の「3色ボールペンテクニック」…

『1億3000万人のためのeスポーツ入門』──一過性のブームに終わるのか

1億3000万人のためのeスポーツ入門 作者: 但木一真,謎部えむ,live,西谷麗,佐々木まりな,松本祐輝,高木智宏 出版社/メーカー: NTT出版 発売日: 2019/06/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る フィギュアスケートができなくても観戦するのはとても…

眠りクソ読書、敗れる

眠りクソ読書という種類のクソ読書がある。 難解な哲学書、退屈な歴史書、胡散臭い自己啓発書を読み、脳みそを「こんなことをしても意味がないのだぞ」という気にさせることで、意識のシャットダウンボタンが押されるのを待つというのが、眠りクソ読書だ。 …

フロー(心理学)は虚しい

「流れ」を意味する言葉である「フロー」は、心理学を学んだ者、IT起業家、若手経営者、意識高い系大学生高校生、学習系YouTuber、DaiGo派などの新人類の間では、どうやら違う意味で捉えられるらしい。 彼らの頭脳の中にある辞書がはじき出す「フロー」の意…

自演と宣伝

bunkolog.hatenablog.com 拙者、『文庫-LOG』という文庫で読める本を紹介するブログなんてのもやっているんであります。 ブロニーなんて下品な内容の記事を、一番上に載せておくのが、なんだか恥ずかしいので、無理やりねじこむ。 更新しました。 それだけを…

無自覚のマウント取り

本ばかり読んであたまでっかちにならないように気をつけようとしておりましたが、最近、弟に無自覚のマウント取りをしてしまっていたらしく反省しております。 内容は喫煙に関するもの。ニコチン、タール、そして依存症などの知識に乏しかった僕は、図書館や…

読後レビュー 『世界史の読み方』

世界史の読み方 (角川選書) 作者: 宮崎正勝 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版 発売日: 2013/05/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「小さな世界史」と「大きな世界史」というステージで捉えて単純化……というのがウリの本書ですが、その…

『文庫-LOG』を全然更新できていないという事実

僕はこのブログの他に『文庫-LOG』という書評ブログをやっています。 文庫に絞って書評をしようということをコンセプトにやっています。 しかし最近更新できていません。 理由は、図書館で借りる本の中に、文庫がそれほど入っていないこと、上限まで借りてし…

宗教の奥義は言語束縛であるー『宗教の秘密』

宗教の秘密 作者: 苫米地英人 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2012/03/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 3人 クリック: 8回 この商品を含むブログ (3件) を見る 宗教の秘密: 世界を意のままに操るカラクリの正体 作者: 苫米地英人 発売日: 20…

いくら聖典が書き換えられていると分かっていても宗教って強いんだね

書き換えられた聖書 (ちくま学芸文庫) 作者: バート・D.アーマン,Bart D. Ehrman,松田和也 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/06/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 『書き換えられた聖書』を読み終わりました。 「文庫-LOG」行きになるで…

図書館借りた本10冊読前レビュー

返却期限が切れていることを思い出して急いで図書館に行き、ジャケ買いならぬジャケ借りをしてまいりました。なんとなく自分の興味関心に偏った印象。絶対に自分では借りないだろうなという本も含まれていますが、外に出れば飲み物を欲しがって金を使い、本…

ライフハックなんていらない

ライフハック記事ほど吐き気を催すものはありません。 何故かと言うと、「人生をより効率良く生きよう」という思想は、「人間が効率よく生きる能力がある」という前提にたっているからです。 そうした能力はあるのかもしれませんが、生活レベルで効率化を求…

「影響力」を考えるときに使える本3冊

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか 作者: ロバート・B・チャルディーニ,社会行動研究会 出版社/メーカー: 誠信書房 発売日: 2014/07/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (10件) を見る 自分の人生に「影響力」なんて必要かしらと思って…

『死に方別サバイバルガイド』ー隕石の衝突、飛行機の墜落……予測不可能な死から身を守る方法とは?

DEATH SURVIVAL GUIDE 死に方別サバイバルガイド 作者: Sarah Brewer 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2015/01/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 人間の「死亡率」に治療法はない。どれだけお金…

やっぱり「気にしない」ことがよく眠る秘訣だった──『必ず眠れるとっておきの秘訣』

一個前のエントリーで紹介した『睡眠の科学』という書籍を書いた櫻井武さんによる睡眠実用書で、もしかしたらこっち先に読んでおいたほうが良かったかなって思うレベルで分かりやすかったです。Kindle Unlimitedで読み放題です。 必ず眠れるとっておきの秘訣…

睡眠不足になりながら睡眠について知る虚しさ──『睡眠の科学』

翌日に予定があると、前日に眠れないという生活がここ最近続いておりました。 昨日は本日の通院という予定が影響していたみたいで、6時くらいにようやく眠れまして(寝れただけよかった)、そんな不安定な状態でPC開いちゃってブログ書き始めちゃって、もう…

「心は社会かも」と考えた人の本──『心の社会』

心の社会 作者: Marvin Minsky,マーヴィン・ミンスキー,安西祐一郎 出版社/メーカー: 産業図書 発売日: 1990/07/01 メディア: 単行本 購入: 8人 クリック: 148回 この商品を含むブログ (47件) を見る 心とはナニであるかというのは、常に哲学者や心理学者、…

魅力的な脳科学や心理学を疑うべき理由

昨日紹介した『心理学の7つの大罪』には、一般読者が心理学(認知心理学、脳神経科学、機能脳科学、社会心理学、発達心理学など、ありとあらゆる心理学において)のコンテンツに触れる際に気をつけて置くべきことが書いてありました。 ジャーナリスト、一般…

ミイラ取りがミイラになることを防ぐために戦う男の話──『心理学の7つの大罪』

説得に向かった人が、逆に説得をされて、相手側の意見についていってしまったりすることを、「ミイラ取りがミイラになる」なんて言いますな。 最近読んでいた本の中に、ミイラ取りがミイラになってしまった学問があるのだと知りまして、とてもおもしろい本だ…